9/4、ゆずの実さん

こんにちは、ゆずの実さん。こちらこそお久しぶりです。
以前のサイト「雨更紗」にて、マーキュリーロードのご感想を下さっていた方ですよね。
更新の度にメールを送ってくださり、頂く度に飛び上がって喜んでおりました。

ポケモンを大好きでいること、書き続けること、これらを忘れずに戻ってくることができて私自身も安心しております。
長く、本当に長くお休みの期間を頂戴しておりましたが、「休息」と称してくださったこと、とても嬉しく思います。
今、振り返ってみると、訪問者様にとって利用しやすいサイトを運営するための心構えを培う時間としても、また私自身が休むための時間としても、必要だったのでしょうね。
復帰直後はなかなかそうしたよい方向に捉えることができず、皆さんへの申し訳なさばかりが募っていましたが、
今は純粋に、時間をかけて立ち直れたこと、また以前のサイトや以前の私を知ってくださっている方とこうして再会できることを喜ぶことができています。

にもかかわらず! 私という不甲斐ない人間は! 8月末から10月下旬にかけて繁忙期という名の地獄を死んだように生きていたものですから!
9月初旬に頂いたゆずの実さんからの温かいお言葉へのお返事がこんなにも遅くなってしまいまして……本当に申し訳ありません……。
もし、また遊びに来ていただけているようでしたら、是非、目を通していただければと思います。

さて、久し振りにマーキュリーロードについてご言及いただけたので、ご感想の内容と合わせてお喋りさせてくださいね。
今回、ゆずの実さんから【登場人物一人一人に感情移入】というお言葉を頂戴し、「……ん? 一人一人に……え!?」と、少しばかり動揺してしまいました。
ミヅキへのご感想を頂くことがほとんどであったものですから、リーリエの歪み、ハウの幼さといった新しいご着目に、完結3年目にして飛び上がって喜んでしまいました。

【リーリエのように盲目的に他人を決めつけたり】
【ハウのように自分だけ苦しむのは嫌だと思ったり】
そ、そうなんです、そうなんですよゆずの実さん。
「歪であるという悲しみ」を、グズマさんは第三章にてミヅキにしか見ていませんでしたが、
似たような悲しみというのはその実、リーリエやハウも同様に持ち合わせているものだったりしたのです。
そうした歪みを分かりやすく呈しているのが、ミヅキ、リーリエ、ハウといった子供達、
そしてこの連載のキーパーソンとなっていただいたルザミーネさん、ザオボーさん、グズマさんの3名でした。

当サイトの主人公達の人格は、私が勝手な空想の元に生み出したものですが、
私もそこまで想像力が豊かな方ではないため、どうしてもその人格には「私」の要素が入り込んでしまいます。
すなわちミヅキにせよ他の女性主人公にせよ、何かしら「私」の傾向があるということです。
ミヅキの「自らが取るに足らない存在であることを認めたくない、宝石で在りたい」という思いもまた、幼い頃の私にとってひどく覚えのあるものでした。
……というよりも、こうした思いは多かれ少なかれ、かなりの人が一度や二度は抱いたことがあるのではないか、などと傲慢にも考えてしまっています。
その「ちょっとなら考えたことがあるかもしれない」という「おぼろげな意識ないし思想」を、極限まで純化し増幅させたのが当サイトの主人公達です。
若さと幼さ故に、彼女達の信念はどこか危なっかしく、アンバランスで、破滅的です。
だからこそ、周りのトレーナーさんたちとの交流の中で、その覚束ない少女たちが確かな形を取っていく、その過程を書くのがとても、とても好きであったりします。

ただ、マーキュリーロードに関しては、かなりの数の人物を物語の中で動かし、そしてかなりの数の人物についてその内なる心理を描写してきました。
そのため、従来なら主人公だけであるはずの「私の要素」の埋め込みが、主人公以外にも行われてしまっていたりします。
リーリエの「妄信」も、ハウの「道連れ・戦友を欲する気持ち」も、グズマさんの「承認欲求」も、ルザミーネさんの「孤独への恐怖」も、ザオボーさんの「大成への諦念」。
これらはどれも、私が多かれ少なかれ経験したことのある感情であり、そのため彼等の心の揺らぎは私に「覚えのある」ものばかりです。
そしてこの「覚えのあるという感覚」は、私だけに限ったことではないのではないか、というおぼろげな期待がありました。

【私自身に存在する影と何処と無く重なりました】とゆずの実さんが書いてくださったことで、その期待は確信に変わりました。
ミヅキだけでなく、あの物語に登場する人物の多くを、それなりに「生きた」存在として書くことが叶っていたのだと知り、2年半越しの喜びに心臓が煩く跳ねています。
本来は全ての連載、全ての物語において、これくらいの熱量で、それこそ魂を削る勢いで書ければ一番いいのですが……い、いや、頑張ります! 弱音あかん。
もし私が2年半前の情熱をそのままに取り戻し、マーキュリーロードに通ずる重たいものを書き上げることが叶ったなら、……その時はまた、読んでくださいますか?

長くなりましたが、今回はこの辺りで。
貴方にまたお会いできて本当に嬉しかった! きっとまた、お会いしましょう。

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