Afterword2

何名かの方から続編のご希望を頂きましたので、書いてしまいました。
揺蕩うソネットのその後となっております。
続編ないし番外編の需要を知らせてくださった方、もう一度この場でお礼を述べさせて頂きます。ありがとうございました!

内容に関しては特筆することもないのですが、ちょっとした裏話を少しだけ。


1、ルビーの正体

ルビーはルビーでも、ピジョンブラッドという種類です。ワインレッド色の宝石を探していたら見つけました。
ワインレッドはマツブサさんの色、と思っているので(勝手な憶測)こんな宝石にしてみました。


2、マツブサさんの言った「狡さ」

「もし、キミが変わらずに待っていられたなら、キミが望むものを最上の形であげよう」
本編5話にてこんなことを言った彼が、続編4話では、

「キミの思いを尊重するなら、キミの思いの変化を心から許せていたのなら、こんなものを渡すべきではなかった。……この指輪は少なからず、キミを縛るだろう」
「私は狡いことをしているのだよ、トキちゃん」
と言っているのですが、少し説明不足かなと思ったのでここに投下することにしますね。

本編5話にて、彼は子供であるトキちゃんの思いを「変わるもの」だとしており、それとは逆に、大人である自身の思いを「変わらないもの」だとしています。
そんな彼女が、「変わらずに待っていられる」ことを、彼は「キミが望むものを最上の形であげる」ための条件としています。
けれど彼は今回のお話の中で指輪をあげてしまいました。他の指ならまだしも、よりにもよって左手の薬指に。

トキちゃんの思いの変化を尊重し、認めることができていた筈のマツブサさんは、指輪をあげるという決定的な事項によって縛られてしまいます。
指輪をあげた段階で、彼女との将来を想定するのは何らおかしいことではありません。
しかし同時にそれを彼女にも強いることになってしまい、それは彼女の思いの変化を許せない、認められないということになります。
まあそれを振り切って、そんな約束をなかったことにしてしまう場合もあるかもしれませんが、その場合、トキちゃんにもマツブサさんにも大きな傷が残りますよね。

「もしキミが変わらずに待っていられたなら、キミが望むものを最上の形であげよう」

それは彼女の変化を許した発言であり、彼女の思いがもし変わってしまったとしても、トキちゃんとマツブサさんが追う傷は最小限で済む筈でした。
けれど今回、指輪を与えることでその状況は変わりました。
彼はリスクを冒したのです。双方が深く傷づくかもしれない未来を案じながら、それでもリスクを冒そうとしたのです。
傷付くかもしれないことを想定していながら、それでも「今」の彼女の不安を取り払ってあげたかったのでしょうね。
リスクを冒してでも、彼女が望んだ「貴方の傍にこれからもずっといられるという確信」をあげたいと思ったのでしょうね。

それと同時に、この行為はマツブサさんが少女の思いを「信頼」していることの表れだとも取れます。
何度も言うようですが、指輪を渡すということはそれなりにリスクが伴います。相手が変化しやすい子供なら特に。
しかし、マツブサさんは重ねた時間の中で、彼女を信じられるようになっていたのでしょうね。
彼女の思いがそう簡単に変わるものではないと、そう信じられたから、指輪を渡すに至ったのだと思います。

つまり今回の指輪の一件は、双方の焦りによって引き起こされたことでも、マツブサさんが一方的に彼女を縛るために行ったことでもなく、
確かに築きあげられた二人の間の信頼があったが故の行動であったのだと、そう捉えて頂ければ幸いです。


相変わらず……纏まりのないあとがきになってしまいました。
取り敢えず、本編よりもお砂糖過多な仕上がりになってしまったので、吐き気を催した方がいらっしゃらないかどうかだけが心配です。
楽しんで頂けたなら、とても嬉しい。

では、此処まで読んでくださり、本当にありがとうございました!


2015.1.10

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