J、VSカブさん~ワイルドエリア北部

炎バッジを頂くべく、エンジンスタジアムへ入場していきます。
前2つのスタジアムでも感じていたことなのですが、待合室? ロビー? のようなところにいるジムチャレンジャーや観戦者が、
もう既に主人公に注目しているような素振りを見せていたり、「ファンになっちゃった」などという発言を聞くことができたりと、
このガラルにおいてジムチャレンジがどのような位置付けであるかということを彼等の台詞が如実に表してくださっています。
そしてどこにでもいるお前は……ボールガイとかいう危なげなこいつは一体何者なんだ……貴重なボールを1つずつ下さるからまあ有難く頂戴しているのですけれども……。

個人的に好きなのが、スタジアムの左端くらいにいつもいる、サッチムシを連れた女性ですね。
主人公がバッジ0個の状態の頃から既に応援してくれていて、何処のジムでも温かい言葉をかけてくださいます。
サッチムシも1回、2回と進化して姿を変えていくという成長も見られて、ああずっと見守ってくれているのだなあ嬉しいなあと思えたのですが、
この女性にはどうして固有のお名前がないのでしょう、惜しいなあ……。

エンジンスタジアムの前でホップと再会し、いつものように元気いっぱいの応援の言葉を貰ってからいざ、出陣です。
ごり押しのプロことインテレオンが今回も大活躍してくれることでしょう。
よっしゃカブさん待ってろ! 貴方さまの炎ポケモン、ピンポイントで消火してくれるわ!

ジムミッションは、スタジアム内に設けられた草むらにいる野生ポケモンを倒す、ないし捕獲することです。
ジムトレーナーが味方側のポジションに付く形でのダブルバトルですが、このトレーナーのポケモンは主人公のポケモンを攻撃してくるなどの妨害を行うので、
まずは味方側にいるトレーナーのポケモンから駆逐していくのがよろしいかと思われます。
ちなみに私、ガラル鉱山での探索が足りなかったせいで、この草むらで初めてヤクデを見つけたのですよね。
なんとか捕獲に成功して一安心したところで、さあ、いよいよ消火活動スタートです。

何故か当たり前のようにチャレンジャー側の入場門へ現れたカブさんが(普通は反対側の門から現れる)
あまりにも整った姿勢でジョギングしつつ、主人公と並んでフィールド入りする様に戸惑いながらも中央で二人向き合う形を作ります。

「ようこそ! ぼくが炎タイプのジムリーダー、カブだ。草タイプのヤロー、水タイプのルリナを退け、よくぞここまで来たものだ!
どのトレーナーも、どのポケモンも、勝つためにトレーニングしているだろう!
だが戦う相手も同じように努力している! 勝負の分かれ目は、本番でどれだけ実力を出せるかだ!」

このカブさんね、一人称「ぼく」もその物腰もそうですが、繰り出してくるポケモンのセンスがものすごくいい感じです。
先鋒をキュウコン、次にウインディ、そしてキョダイマックスするマルヤクデ……よくもまあこれだけかっこいい炎タイプばかり揃えられましたな! かっこいい!
真っ赤な、若干暑苦しさを感じるフィールドにぽつんと佇む青いインテレオンが良い感じに目立っている様子に「いいじゃんいいじゃんかっこいいよ」とニヤニヤしながら、
初代の炎タイプ石進化の二翼を順番に倒し、マルヤクデのお出ましです。

「カブよ、頭を燃やせ、動かせ! 勝てる道筋を探すんだ!」(ラスト一匹)
「マルヤクデ、燃え盛れ! キョダイマックスで姿も変えろ!」(ダイマックス前)

マルヤクデのキョダイマックスは公式で公開されていなかったので(そもそもマルヤクデ自体の開示がありませんでした)
果たしてどうなるのか、丸くなるのか長くなるのか色が変わるのか翼が生えるのか、など色々と考えていたのですが、ええ、長くなりました!
炎の竜を彷彿とさせる見た目で、口元のヒゲも長く立派に伸びており貫録を感じさせます。ビジュアルものすごくかっこいいね……かっこいいね!
マルヤクデは炎・虫タイプで、かなり幅広いタイプの技を使いこなすためED後もバトル施設でも活躍してくれそうだなぁと思っていたのですが、なんとまさかの岩4倍です。
そ、そういえばかの有名なウルガモス先輩も落石に怯えておられましたね。そうかウルガモスの血を引く者か、うん、かっこいいのも納得です。

インテレオンのダイマックスで立ち向かい、水タイプの「ダイストリーム」を発動させて倒しました。
ダイストリームは攻撃後、雨を降らせる効果があるので、
ユウリとインテレオンの勝利ポーズも、カブさんの地に膝を着くがっくりポーズも、曇天の雨降る中行われるという若干シュールなことになってしまいました。

「いいポケモン、いいトレーナーだ! 君達は勝って当然だよ!」(勝利時)

あまりにも真っ直ぐに勝利を称えてくださったカブさんから炎バッジを受け取り、カブさんの有難いお言葉を拝聴します。

「ダイマックスによってぼく達のポケモン勝負は、ガラル地方の文化となった。そして文化を担うのは、若いトレーナーの役目だよ。
もっとも、ただ守るのではなく、君達でより良いものにするんだ。ぼく達大人は、支えるから!」

わぁ……。な、なんて素敵な……。
ガラル地方の大人って、カブさんに限ったことではないのですが本当に頼もしい。ちゃんと「大人」をしているのですよね。
まだ戦ってもないのに自らの力不足に怯え、たかだか14歳くらいの女の子にダークストーンを押し付けたどこぞのチャンピオンとはえらい違いだ!(やめなさいやめなさい)
あまりにも「光」の側面が強すぎて、人物単体としての考察が難しい……などというのは贅沢な悩みではあるのですが、
その考察はリーグカードの裏面が助けてくださるので何の問題もありませんでしたね、楽しくなってきました!

スタジアムのロビーでは、試合を観戦してくれていたと思しきホップが勝利を祝ってくれます。
一緒にワイルドエリアを抜けて次の町へ、と誘ってくれるので追いかけると、更にそのナユを追いかけてきたらしきカブさんと再会します。
この人、移動のフォームは常にジョギングなのですよね。拘りなのか、あるいは24時間トレーニングに励むという心意気でいらっしゃるという表現なのか。

「ジムバッジを3個も集められずにジムチャレンジを諦めるトレーナーは数多くいる……。だからぼくに勝った者は皆、見送ることにしているよ」

な、なんということでしょう……こんな優しい見送りが、こんな、こんな、ジムの中から出てきてまで主人公を見送ってくださるとかいう優しさを下さるなんて……。
けれどもその優しさはカブさんだけが持ち合わせているものではございません。
ルリナさんとヤローさんも、バウタウンとターフタウンから見送りに駆けつけてくれたらしく、3人に見送られながらの贅沢極まりない旅立ちとなりました。
ガラルは本当に、本当にあったかいなあ。

エンジンシティは前半のジムチャレンジにおける「関門」だというのがガラルの共通認識であるらしく、
ジムバッジを3つ貰っている、というのはそれだけで称賛されるべきことであるようですね。
……私はインテレオンで3タテしてしまったので特に関門めいた強さは感じなかったのですけれどもそのもにょもにょ

ヨマワルチャレンジに断念して以来のワイルドエリアに突入し、ホップと一緒に北へと向かうのかと思いきや、
「およしなさい」という、BW2のPWT前でアクロマさんがヒュウに制止を掛けたあのシーンを彷彿とさせる台詞と共に、
白いもふもふの髪に潰れた菫の目をしたビートが登場してくださいました……ありがとうございます。

「ムダなことはおよしなさい……。どうせジムチャレンジも突破できないのですから。
あなた達を推薦するなんて、チャンピオンもどうかしていますね」

(ホップの方に体を向けつつ)
「そっちのホップくんに至ってはまともにボールも投げられないし」
「分かってないな。オレの投げ方は最強だし、アニキは世界一のチャンピオンだ! バカにするなよ」

「やれやれですよ。あちらで勝負をしてあげます。そうすればあなたがどれ程弱いのか、はっきりと分かるよね」
「よく言うぜ。オマエ、第二鉱山でナユに負けてるくせに。つまりだぜ、ナユのライバルであるオレにも勝てないぞ」
「ナユだの、チャンピオンだの……あなたの強さを見せてくださいよ」

(開けた場所へと歩き出すビートに向かって)
「だから、勝負で教えてやるぞ!」
(ホップも駆け出しながら)
「じゃあな、ナユ! ナックルシティで会おうぜ!」

足早にその場を立ち去る二人。すぐに視点はナユへと切り替わったのですが、一体あの二人はどこでバトルをしているというのでしょう。
見晴らしの良いワイルドエリアであるはずなのに、こんな一瞬で二人の姿が見えなくなるなんて……と、なんだか寂しい思いをしつつ、北東へと進みます。

橋を渡った先にいらっしゃる、カビゴン、ニューラ、イワパレス、シンボラー、アブリー、ガマガル、ウォーグルなど、懐かしい面々に挨拶をしておきましょう。
レベルが高すぎるため「とても強そうなカビゴンが現れた!」「とても投げるスキのある相手ではない……!」との表示で捕まえることができないことは分かっています。
分かっているけれども、挨拶せねばならない時がある。
ぼっこぼこにされようとも、インテレオンが瀕死になろうとも、ピッピ人形を大量に消費する羽目になろうとも、顔を合わせておかねばならない時がある。
それが、それこそが、懐古というものではないのかい。

などと言いながら広いワイルドエリアを北上し、軍事要塞を思わせる城壁めいたもので覆われた町、ナックルシティの門をくぐろうとしたのですが、
そこにまたしてもビートが、ビートだけが現れてしまいます。

「あなたでしたか。ホップくんは来ませんよ。だってそうですよね? あんなに惨めな負け方をすれば、推薦してくれた人に申し訳なくて、辞退しますよ」

うわぁやってくれたなビートよ。
貴方が、ローズ委員長に認めてもらわなければならないという、その事情はよく知っているよ。そのためにジムチャレンジャーが邪魔であることも分かっているつもりだよ。
ライバルとして同じジムチャレンジャーのホップやナユに挑む、いいことじゃないか大いに結構。
だが勝ち方がよろしくない。相手の心を折りにかかるような勝ち方をしちゃいけない。
心を蔑ろにされる辛さは貴方だって理解しているはずなのに、それと同じことをホップにするなんて許されないことだ。

ああでも、許してしまうんです。許してしまうんですよねこのガラルという土地は。だから心配しなくても大丈夫、ビートのことは大丈夫。
ガラルは優しい土地です。失敗を、悪行を許してしまうあまりにも優しい土地です。
やり直す余地が子供には沢山、いやきっと大人にさえ、与えられているような、そうした場所なんですよね、このガラルというところは。
……それに引き換えカロスのやり方は何だ! あの、フラダリさんやフレア団を悉く排斥して美しいカロスを保とうとするあの惨過ぎるやり方は!(やめなさいやめなさい)

いや、でも大丈夫だ。ホップは今、ちょっと落ち込んでいるだけなんだ。彼は自力で立ち直ってまたいい笑顔でナユとバトルをしてくれるはずなんだ。
などと頑なに信じつつ、「委員長と約束がありますので」と先にナックルシティの門を通るビートを見送りつつ、それに続く形でナックルシティに突入します。

2019.12.2

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