H、バウタウン後編

ええいもうローズさんなんか知らん! 私は私のペースでジムチャレンジをするぞ!

などと思っていたのですがこのバウタウンの景観があまりにも美しいので、まずはゆっくり観光しようと思います。
本当にガラルはね、街並みが美しいんですよ。そして都会に行けば行くほどに住宅街が恐ろしいほどに統一されている。
屋根の色も、花壇の花も、建物の並べ方も、ガラルは「個」として自宅を主張するのではなく「町全体の一部分」としての役割を果たすために綺麗にデザインされています。
一軒ずつの個性が感じられないところが寂しくもあり、家というものに個性を出そうとしないのがガラル……もとい、イギリスのお国柄なのかなとも思ったりしたのですが、
このバウタウンの景観はあまりにも青色であまりにも花があってあまりにも私に都合の良いデザインだったのでもう私はややこしいことを考えるのを、やめた(?)
うん、バウタウンとても綺麗だね。……綺麗だね!

港町、ということで海側には船が停泊していたり、釣り堀があったり、灯台があったりと見どころが沢山あります。
広場のようなところではテントを構えてお香が売られていたりして、ホウエン地方のカイナシティを思い出してニヤニヤとしたりもしました。
此処に至るまで全く釣りをしていなかったので、適当に竿を振りかぶると、新規のポケモンに出会えたり、懐かしいチョンチーと再会したりとかなり楽しめました。

灯台の傍にいるジムリーダーのお姉さん、ルリナさんに挨拶をして、リーグカードを受け取り、
「あなた、ジムリーダーの間でちょっとした有名人なんだよ」と、ダンデさんに推薦されたジムチャレンジャーとして顔が知られつつあるという情報にびくびくしながら、
……さあ、バウスタジアムへ赴きましょう!

ジムチャレンジは、簡単に言えばパズルのようなものでした。
赤・黄・青のスイッチを切り替えて通路を開いたり閉じたりしながら、最適な順番でスイッチを操作し道を進んでいくといった、よくある迷路です。
途中、眉のキリリとしたジムチャレンジャーと戦ってワタシラガの経験値の糧としつつ、最後の青のスイッチの動作タイミングにちょっと手こずりつつ、ルリナさんの元へ赴きます。

「わたしのジムチャレンジ、控え目に言っても難しいのによくクリアしたわね。あなた……ポケモントレーナーとして冴えた頭脳の持ち主なのね。
その冴えた頭でどんな作戦を繰り出そうとも、わたしと自慢のパートナーが全て流し去ってあげるから!」

ということで2回目のジム戦です。ああやっぱりジム戦のBGMはかっこいい。

「最後の一匹じゃないの。隠し玉のポケモンなのよ!」(ラスト一匹)
「スタジアムを海に変えましょう! カジリガメ、ダイマックスなさい!」(ダイマックス直前)

ルリナさんの手持ちはトサキント、サシカマス(New!)、カジリガメの3体で、当パーティのワタシラガとジメレオンが快勝してしまわれたので、
今回はBGMについて少し話しておきましょうか。

ジム戦BGMは7月、ローズさんとオリーヴさんの情報が公開されたのと同じタイミングで一部お披露目となりましたよね。
あのPVには本当に痺れたのですが、BGMだけに注目してじっくり聞いてみると、なんというかこう……盛り上がるのは盛り上がるのですが、メロディアスではありませんよね。
主旋律と呼ばれるものが確立されていない、あくまでもバックグラウンドでの演出に徹しているという印象を受けて、
歴代のジム戦で言うならカロスのジム戦、あれに似た性質を持っている曲だなと感じていました。

けれども実際にジム戦に挑むと、この曲が「こうで在らなければならない」理由がなんとなく分かってきました。
ラスト一匹になると、観客からのコールが入る特別なBGMに切り替わりますが、その折にBGMのメロディがプツっと切れてしまうのは残念極まりないことですよね。
ただ、このようにメロディらしきものを排したBGMにしておくと、ラスト一匹のBGMとの切り替えの不自然さが全く生じません。
曲のどのタイミングで「ラスト一匹」に切り替わろうとも、スムーズに違和感なく別曲へと移行できるようにと施された配慮であったのかもしれませんね。
主旋律に欠けるBGMは剣盾においてジム戦くらいのもので、ビート戦とか、チャンピオン戦とか、ホップ戦とかはとてもメロディアスで、情熱的なものでしたから。

いや違うんですよ、ジム戦だって情熱的なんですよ、大好きなんですよ!
ただ少し曲の作り方が違うなというか、切り替えのために敢えて主旋律を隠しているなという印象を受けて
「すごい考えられている!」といたく感動したというだけなのですそれだけなのです、はい。

あ、そうそう、ルリナさんのリーグカードの紹介がまだでしたね。それにしてもこのお姉さん、目がものすごい綺麗!

『父親は漁師、母親は市場で働く。両親の影響からか、水ポケモンと遊んで育ち、ジムリーダーに選ばれた。
ジムチャレンジのときに知り合ったソニアとは今も仲のいい友人であり、バウタウンで採れたものをよくプレゼントしている。
ライバルはターフタウンのヤローと宣言しているが、ヤローは自分自身がライバルと答えていた』

や、やめろぉ! そうやってぇ、ライバル意識の一方通行をよりにもよってリーグカードで晒していくのはやめるんだぁ!
ああでもソニアさんとはご友人なんですね。美人さん二人が町を練り歩いている姿を想像するだけでちょっと元気になれます。どちらの方が背が高いのでしょうね。
ヤローさんが穏和の権化みたいな笑顔で「ライバルですか。いやぁ、やっぱり自分自身ですかねぇ」と口にして、そのインタビューにがっくりと肩を落とすルリナさん。
そ、ソニアさん! 元気付けてあげてください!

そういえばジムバッジを手に入れたら、ローズさんと話をしようというような約束がありましたね。
正直あの恐ろしいイベントがあった後なので警戒心しか抱けないのですが、オリーヴさんの案内に従い、シーフードレストラン「防波亭」へ向かいます。
レストランの外には多くの人だかりがあり、ローズさんの様子を窺っているようです。もしくは出待ちしてサインを貰おうとしているのでしょうか。

レストランへ入るとローズさん、オリーヴさんの他に、ルリナさんの友人であるソニアさんも同席しておりました。
窓際の、海の見える特等席で、ものすごいお洒落な畳み方をしているナプキン(チューリップみたいな立体構造をしていました)とワイングラスの置かれた咳に座り、
さて何を言われるんだ、この人は今度はどんなことを口にして私の心臓をぐちゃぐちゃにするつもりなんだ……などと警戒していたのですが、
ソニアさんとローズさんの間で、ダイマックスについての研究の進捗状況について話題が展開しただけで、
彼がナユに質問をすることも、彼女の話題に切り替わることもなく、ローズさんとオリーヴさんは「次の仕事があるから」と足早に去っていきました。

「ですが委員長、そろそろお時間です」
「えー、ナユくんの話をまだ聞けていないのに。ふう、名残惜しいが仕方がないね。やるべきことはすぐにやらないと!」

このシーン、7月のPVにもありましたがこのレストランでの描写だったのですね。
あの頃は委員長のオフスタイルが白いジャージであることしか分かっていなかったのですが、まさか下が半ズボンの水色パンツだとは思いもしませんでした。
初めて見たとき、「えっズボン履き忘れていませんか?」と心配しそうになってしまいましたよ、紛らわしい色だなほんと!

二人が立ち去ってから、ソニアさんがジムバッジを手に入れたことを祝福してくれて、技マシンも貰えます。
そういえば今作は「技マシン」と「技レコード」があって、技マシンはBW以来の「使ってもなくならない」仕様でしたが、
技レコードは第7世代までの所謂「教え技」の代わりとして「一度使えばなくなる、特殊な手段でしか手に入らないもの」という位置づけになっているようです。
割と強力でメジャーな技が技レコードには多数あるので、どの子に覚えさせようかと悩んでしまうところですね。

それから、ローズさんのリーグカードを、バウスタジアムを出たタイミングでオリーヴさんに頂いておりましたので此処で確認します。

『過去にチャンピオンカップで準優勝の経験を収めた、優れたトレーナー。リーグ委員長として、また大企業グループの総帥として、ガラル地方の発展に尽くす風雲児。
考えていることと会話が異なるため、ときどき話が噛み合わないと言われる。彼の意図が理解できるのは秘書だけと言われています。
(テキストは秘書の方がご用意されたものです)』

……ふむ、オリーヴさんはローズさんに首ったけと、成る程よく分かりました。
「チャンピオンカップで準優勝」というところで、ボスとして立ちはだかるに相応しい実力を持っていることを示唆していますね。素晴らしい。
ただ「準優勝」というところはどう解釈すればいいのでしょう。志半ばで敗れたその未練を引きずっていると取ればいいのか、それともただの強者の証であるという認識で良いのか。
あるいは「ローズさんを倒してチャンピオンになったのがダンデさん」であるという考察をさせないための「準優勝」止まりなのか。うーん分からない!

「考えていることと会話が異なる」についてはもう不穏な気配しかしません。何なんですかこれは。正直この一文だけで黒幕認定できるくらいの濃い記載ですよ。
大人の嘘、それもこれだけ大成した「風雲児」が吐く嘘です。その思惑に影が入っていない……などということはまあ、在り得ないでしょう。
こいつは面白くなってきやがったぜ!(?)

2019.12.2

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