スカラビアCM教えてくださりありがとうございますありがとうございます……すっげえもん見ちまったぜ
ああ綺麗に笑うなあ穏やかな笑顔だなあとてもブロットを溢れさせてそのまま暴走し続けていれば死にさえ至る危なっかしい姿であるとはとても思えないよなあ楽しそうだなあ嬉しそうだなあ人生で一番幸せそうな笑顔をしていらっしゃるなあなんでそのままじゃいられなかったのかなあアズール・アーシェングロットの慈悲に体よく生かされちまってさあ、君は本当にこれでよかったのかジャミル・バイパー……。でも第五章で元気にダンスのソウルを疼かせてくださっていたので幾ばくか救われました。そうだよ此処はNRC、学園生活だ。ジャミルにはバスケ部の仲間も2-Cのクラスメイトも(よりにもよってそのクラスメイトのネームドメンバーがアズール・アーシェングロットであるのはまあさておき)がけも? 仲間のイデア先輩もいるものね、楽しいこといっぱいあるものね。楽しいことは、いっぱいあるものね。
レオナさんの成績はどの程度なんかは知らんが、リドルもアズール・アーシェングロットもジャミルもかなり優秀であると見える。リドルは勿論だけれどアズールは飛行術以外大抵のところトップクラスだろうし、ジャミルもオール5を綺麗に取れるならもうそれ「全て見えている」ってことだからオール10とはいかずともオール9.7くらいは余裕なんじゃないかと思っている。方面は違えどこの三人は2年生の中でもとりわけ優秀で完璧でいらした訳だ。そんな完璧様が揃いも揃ってオーバーブロットして、それまでの信用とか順調に進んできたいろんなことが一度勢いよく崩れたんだ。要するに「隙」が出来た、ってことなんだ。隙のある存在ってのは……もう少し品のいい言葉選べんかったんかって感じなんですけれども、その、愛らしいよね。その……人間っぽくていいよね。
リドルの癇癪の起こし方なんか本当にそう。完璧の皮を剥がしたらあれが出てくるなんてまさか寮生誰も思ってなかったでしょう。リドルがええ感じに「隙」を見せ、そこへ容赦なくエースやらグリムやらが刺しまくったからこそ、ハーツラビュルはオバブロを経て関係がとてもいい方向に向いたのだと思う。寮長の「隙」は彼等にとっては愛すべき要素だった訳だ。トランプ兵は女王に従うばかりでなく女王を支え守る立場として生き生きと動き始めた。なるほどいい感じだ。素晴らしい。
そう考えるとあのボス戦後のお涙頂戴エピソードも好意的に見られる。あれは彼等の隙を晒す行為であり彼等が纏ってきた完璧な装甲をべりべり剥がしちゃう局面でもある訳だ。そりゃあ楽しいよね。もう重たい鎧を纏わなくてよくなっているんだものね。そりゃあ夢中になって「僕こそが絶対絶対正しいんだ!」「全部全部僕に寄越せ!」「ドッカーン! ナイスショーット!」とか言っちゃうよね。言いたくなるよねそりゃそうだ、なんにもおかしくない。
ただリドルは装甲への自覚がないままあそこまで憤慨してしまい、アズールはその装甲を愛していたからこそその喪失のショックを引き金としてああなったけれど、ジャミルは装甲を自覚した上でそれをものっそう憎んでいたからあの爆発の仕方だった訳だ。ドッカーン! ナイスショーット! 地獄の果てまで飛んでいけ! そして二度と帰るな! ってさ、そりゃあ楽しくなっちゃうよなあ、装甲を脱ぎ捨てて子供のようにはしゃぎ回るのはそれはそれは楽しかったろうなあ……。
ただ、ジャミルが副寮長ってのが彼を他の二人より生きづらくしている。リドルやアズールの見せた隙は副寮長やその他ネームド寮生との絆を深める一因に化かすことができるものであった、だから一章終盤のパーティーなんか実に楽しそうだったし、四章のオクタはより愉快かつ厄介かつ悪質になって現れた。でも副寮長であり従者であり兄弟も幼馴染も他のネームド寮生もいない彼が隙を見せたところで、それは他の「深謀遠慮」をモットーとする寮生たちに、副寮長という立場を奪う機会をみすみす与えてしまうということになるだけで、彼の隙を愛してくださる人は、彼が大嫌いだとのたまったカリムくん以外にいるはずもなく……。つまり彼は自らの立場を脅かされないため、また大嫌いなカリムに愛されないようにするためにその隙を隠さなければいけないのであって……だからこそ彼はオバブロのあれを「失態」として事務的かつ公正に処理し、その後の生活では「我慢しない」……要するに何もかも全力で取り組んでカリムくんに遠慮することもなく、それまでわざと作っていた「隙」を徹底的に埋めていく行為に出ている……のか? でもそうやって隙を埋めることでジャミルはどうなろうとしているんだ? 彼は一人旅がしたい。彼は自由になりたい。彼は一番になりたい。彼は、でも、彼を一番愛してくれるであろう主人を大嫌いでいたい……。
うーん駄目だな分からない。どう生きればジャミル・バイパーがあのCMラストのように穏やかに笑えるようになるのかがさっぱり分からない。あの笑顔がオバブロによる「墨化粧」だと言われてしまえばそれまでなのだけれど。
あと当方アズール・アーシェングロットが大好きなのであのマジカメ全国中継詐欺についてもちょっと書き留めておこうかな。レオナさんが第三章で600枚ほどの契約書を砂にしちゃったのが「やりすぎ」であったように、アズール・アーシェングロットの全国中継もまた「やりすぎ」であるのでまあ釣り合いが取れているかなと思っていました。こいつならマジでやるだろうな、とも。そんで第四章ではただジャミルを信じていただけだったカリムくんが、世間様の叱責とかその他すべてのものから命張ってジャミルを守ってくれたりしたら、それでも尚、ジャミルがカリムくんに「大嫌いだ」と言えたなら……。とまあこんな風に、私はアズールの「やりすぎ」が二人の関係を何かしら変容させるためのきっかけになることを期待していたのですが、でも蓋を開けてみたらぜんっぜんそんなことなかった! そんないい話がツイステにあるはずなかった! アズールはあくまでもアズールのために動いていただけだった! 流石はアズール・アーシェングロット、恐れ入ったぜ本当になあ!
でもこの第五章のアズールにはちょっとこう……「驕り」を感じてしまうなあ。ジャミル・バイパーは……アズールの手に負えるような人ではないような気がしている。隙で愛されることを覚えたリドルやアズールに、レオナさんやジャミル・バイパーの何かしがは……扱い兼ねるでしょう。奇数章の二人に、偶数章の二人を、どうにかできるとは思えない。逆ならどうにかなりそうだけれど。
奇数章が「どうにかなるもの」偶数章が「どうにもならぬもの」で来ているので、第五章もまた最後には面白おかしく終わってくれるんじゃないかと思っているし、第六章はまた最後まで心苦しくなってしまうのだろうなと思っています。ただ五章も六章もオバブロ候補様が三年生なので、「隙」によるストーリー展開に持っていくことはないかもしれませんね。イデアさんとか、だって、どう足掻いても一人だもの。