空や海や鉛や小石を殺してしまいたい訳ではないんだ。

 こちらの機嫌で彼女達を肯定したり否定したりしているこの私にこそ非があるのであってね。私は本当に魂を削るようにして彼女達を書いていたよ。夢と冒険とポケットモンスターの世界に「主人公」として降り立った、はいといいえしか意思表示のできない、強烈な運命性と唯一性を引っ提げてその地方を駆け抜けていく、かっこよくて凛々しい彼女達のことが今でも大好きだよ。そんな彼女達に空を、海を、鉛を、小石を、見たことは否定しない。私の精神の一部ずつを引っ張り出してきて、それらを軸に作り上げてきた彼女達に夢を託して書き続けてきた日々はそれはそれは楽しかったよ。楽しい、と言い切れない連載も中にはあったような気がするけれど、それだって私のかけがえのない宝物だったよ。その当時の感性を否定する気はないし、彼女達の存在を許してくださった、あまつさえお気に召してくださった訪問者様には感謝しかない。ポケモンは今でも大好きだ。アクロマさんもセイボリーもチスもダリも豆も大好きなんだ。ありがとう。本当にありがとう。
 でもそんな大好きな彼等と大好きな彼女達がこの雨袱紗で織りなしてきた物語の全てが今の私にとっては「気持ち悪い! 以上!」で終わらせてしまえる程度のチープで下らないものに見えてしまっているというのはもう揺らぎようのない事実です。どうしようもない。どうしようもないんだ。責めないでほしい。怒らないでほしい。彼女達を書きたくなくなったという心理の変化に関しては私が一番ショックを受けているし、私が一番、苦しい!

 たかがホルモン療法にここまで認知を作り替えられてしまうとは思っていなかった。45万円のガチャ舐めてた。物語だけじゃない。家族のことも実の両親のことも親友のことも訪問者様のことも友人方のことも、以前と同じだけの気持ちで想うことが今は本当に、本当に難しい。折角サイトへ頂いたメッセージやサイト外でお声掛けくださったお言葉にだってもう最低な感じでしかお返事できてないの本当に悔しい。近しい人にほど今の歪んだ認知を露わにしてしまいがちだから余計にひどい。人としての思いやりとかそういうのを悉く欠いている。対面業務でも心無い言葉を紡いでしまっているらしく相手を怒らせて失敗ばかりしているので今月から仕事を更に減らしてニートまっしぐらである。当たり前だこんな相手怒らせ爆弾みたいになっている身でアサインなんか取れるか。私が上手くおしゃべりできないせいで先生の機嫌もすこぶる悪い。いや別にこれはもうどうでもええけど。
 そういう訳で、本当にもう、ごめんなさい。好き勝手やっちゃって本当にごめんなさい。でもこうすることしかできないや、今は。

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