このページの前半部には、名前を伏せた人物が「誰」に相当していたのかを、答え合わせという形でまとめて記しています。
また、後半には時間軸のおさらいを「やさしくありませんように」と「木犀」に登場する彼等の年齢とともに行っています。
当然のように本編の重大なネタバレが含まれていますので、未読の方はそっとお戻りください。
また、これまでに頂いたご感想の文章を引用した言葉には【 】で印を付けてあります。
予め、使用報告はサイトでもさせていただいたのですが、もし不都合ありましたらいつでもご連絡ください、匿名表記化、文章の消去など、迅速に対応いたします。
<人物の正体>
*あたし(初登場:1話)
ズミとアルミナの子供であり、アルミナの「生」への楔となるべく生まれてきた。少女であり女性であり母であり老人である。今日も元気に生きている。
*お姉ちゃん(初登場:1話)
マリーの娘であり、最も強く「あいつ」に呪われていた人物。
「緩慢な自殺」をするための手段を「あいつ」が根こそぎ奪っていったため、この子は美しく死ぬ手段を失い、やさしくない世界を生き続けなければならなくなった。
あいつの「呪い(まじない)」は今日も彼女を元気に生かしている。
*オーナー(初登場:44話)
フラダリのことであり、カフェの子供達からは「おじさん」と呼ばれ慕われている。
兵器の光を浴びてしまい、AZと同じように永遠の命を手にするに至っている。そのため風貌が30年前からずっと変わっておらず、若いままである。
「私と生きてください」という「あいつ」の約束を30年間守り通し、360通の手紙全てを受け取ってから、金木犀の木の下でその命を終えた。
オーナーが生きる筈だった「永遠の命」は、イベルタルの中に吸い込まれた。あのポケモンの中で、オーナーと「あいつ」の命は今日も元気に生きている。
*あいつ(初登場:1話)
XY主人公(デフォルト名:シェリー)のことであり、19歳という若さで亡くなっている。
イベルタルに「寿命の半分」を分け与え、その後単身セキタイタウンの地下へと潜り、毒の花のすぐ近くでフラダリを探し続けていた。
フラダリの救出後は二人で穏やかに生きていたが、4年目のある日に「セキタイタウンの花を壊そう」と思い立ち、実行。
暴発を繰り返す毒の花に触れ続け、その破壊を成し遂げた彼女は、しかしその毒に身体を蝕まれ、約束の30年を待たずして亡くなった。
にもかかわらず彼女の死後25年に渡り、フラダリは彼女からの手紙を月一の頻度で受け取り続けていた。その手紙を届けていたのが彼女の親友である。
*マリー(初登場:27話)
BW2主人公(デフォルト名:シア)のことであり、「あいつ」の唯一無二の親友。
「あいつ」が緩慢な自殺を選び取ったことを知っていたにもかかわらず、彼女の願いを尊重する形でその選択を最期まで見届けた。「親友を助けられなかった」ことを悔いている。
白ワインを飲んで泥酔する度に「私が殺した!」と泣き喚くような不安定な時期が何年か続いたが、ある人物の献身的な支えにより、彼女は今日も元気に生きている。
マリーという名前は、「あいつ」の「私が、貴方の唯一無二の親友で在り続けられますように」という願いを叶えつつ、他の人との縁を繋ぐために生まれたものである。
……というように誰もが思っているが、真実はもう少し別のところにある。その「別の理由」を知っているのは、此処ではない、別の世界の「煤色の瞳をした女性」のみである。
*マリーの夫(存在の示唆:32話)
アクロマのことであり、マリーが21歳の時に結婚している(参考:木犀22.5話)。
二人はマリーが12歳の時に出会っているので、10年目にしてようやく落ち着くところに落ち着いたことになる。
「あいつ」を悉く憎んでいた彼は、娘である「お姉ちゃん」がカロスで暮らし始めてからも、一度もあの地を訪れたことがなかったが、
360通目の手紙をマリーが届け終えてからは頻繁に子供の、そして孫の顔を見るためにミアレシティのポケモン研究所へと訪れているようである。
彼はかけがえのない存在と共に、今日もきっと苺の紅茶を飲んでいる。
*マリーの「おじさん」(存在の示唆:32話、46話)
ゲーチスのことであり、「お姉ちゃん」はこの人のことも知っている。
第三章46話での「お姉ちゃん」の台詞「見かねたおじさんがボトルを取り上げるまで続くのよ」に登場する「おじさん」も彼のこと。
既に「おじいさん」と呼ばれるに相応しい年齢をしている筈だが、「お姉ちゃん」は彼が60になっても70になっても彼をおじさんと呼ぶ。
彼は今日も元気にあの子の片翼で在り続けている。
*お姉ちゃんの夫(存在の示唆:66話)
クリスタル主人公(デフォルト名:クリス)とアポロの子供であり、空色の髪と空色の目を持っている。「お姉ちゃん」の7歳年上である。
登場したのは別の世界線における連載「躑躅」だが、XYの分岐はクリスとアポロの運命には影響を及ぼさず、よって子供も全く同じ時期に同じ存在として生まれてくる。
お姉ちゃんがたまに詩的な物言いをするのはこの人の影響であり、生まれてきた子供もまた、髪の色をこの人から受け継いでいる。
*あたしの夫(存在の示唆:62話、63話、64話)
特にこちらでは設定していません。
*煤色の瞳をした女性(初登場:64話)
サンムーン主人公(デフォルト名:ミヅキ)のことであり、65話の手紙の主。この世界線での彼女は11歳の頃に「あいつ」やフラダリと、そして14歳の頃にマリーと出会っている。
マリーの名付け親であるが、こちらの彼女にその記憶はない。マリーのことは親友だと思っており、随分と慕っているが、それをマリーに伝えたことは一度もない。
「マーキュリーロード」から長い時を経て、彼女の故郷はカントーではなくアローラになり、「私、この場所が大好きなの!」と言えるようになった。
<時間軸のおさらい>
「やさしくありませんように」のアルミナとズミをA、「木犀」の「あいつ」とマリーをB、子供世代である「お姉ちゃん」と「あたし」をCとして表します。
プロローグ
A:アルミナ47歳、ズミ57歳、第三章54話時点
B:マリー43歳、「約束」の29年目、あと1年
C:「あたし」17歳、「お姉ちゃん」21歳
第一章(2~10話)
A:アルミナ10~18歳、ズミ20~28歳
B:「あいつ」14歳、マリー14歳
二人の馴れ初めから共に暮らし始めるまでを、アルミナの視点から語っている。
10話ラストと「木犀」のスタートがほぼ同時期であり、Aではズミの、Bでは「あいつ」の「私と生きてください」により、長い時が流れ始めることになる。
第二章序盤(11~25話)
A:アルミナ10~23歳、ズミ20~33歳、「結婚」の6年目
B:「あいつ」19歳(没)、マリー19歳、「約束」の6年目
ズミの視点から、二人の馴れ初めと結婚後の生活について語っている。彼の語りに出てくる「貴方」とは、この話の聞き手である「マリー」のことである。
ズミがアルミナと生きあぐねて、息をしかねて、閉鎖的な世界に甘んじつつ「花であるのはいけないことだったのでしょうか」などと御託を並べている間に、Bの「あいつ」は死んだ。
呆気ない。
第二章中盤(26~36話)
A:アルミナ24~30歳、ズミ34~40歳
B:マリー19~26歳、「約束」の7~13年目、「あいつ」の没後0~8年
C:マリーが22歳のときに「お姉ちゃん」が、36話にて「あたし」が生まれる
パキラとの出会い、マリーとの出会いを通じて、ズミとアルミナの世界が僅かばかり開かれてきた頃のこと。
この間に「あいつ」のことを記した本が世に出され、金木犀の木がミアレシティに多数植えられた。「あいつ」による「呪い」の舞台装置はこの頃には既に整っていた。
第二章終盤(37話、38話)
A:アルミナ30~34歳、ズミ40~44歳
B:マリー26~30歳、「約束」の14~17年目、「あいつ」の没後9~12年
C:「あたし」0~4歳、「お姉ちゃん」4~8歳
アルミナとズミの家には新しい家族である「あたし」が加わったが、それは必ずしも二人を幸福にするものではなかった、この時点では。
第三章序盤(39話、40話)
A:アルミナ34~40歳、ズミ44~50歳
B:マリー30~36歳、「約束」の17~22年目、「あいつ」の没後12~18年
C:「あたし」4~10歳、「お姉ちゃん」8~14歳
視点が「あたし」に切り替わり、彼女の日記により物語が進む。少しは正気を保っている人物が語り手になったことで、文体や描写も多少安定してきたのではないだろうか。
第三章中盤(41~58話)
A:アルミナ41~47歳、ズミ51~57歳
B:マリー37~43歳、「約束」の23~29年目、「あいつ」の没後19~24年
C:「あたし」11~17歳、「お姉ちゃん」15~21歳
アルミナとズミと「あたし」が、二人と一人から三人へと形を変えるまでの流れ。
その裏側で「約束の終わり」があと1年に迫っている。終章65話にて「煤色の目をした女性」の手紙が登場したが、その手紙が書かれたのもこの「あと1年」の頃である。
第三章終盤(59、60話)
A:アルミナ48~49歳、ズミ58~59歳
B:マリー44~45歳、「約束」の30年目、それから1年
C:「あたし」18~19歳、「お姉ちゃん」22~23歳
アルミナとズミは二人で外を歩けるようになった。「お姉ちゃん」は結婚して子供を産んだ。「あたし」はお姉ちゃんと一緒に旅行へと出掛けられることが楽しみで仕方ない。
オーナーは360通目の手紙を受け取り、金木犀の下で眠っている。
終章
A:アルミナ60歳、ズミ70歳
B:マリー56歳
C:「あたし」30歳、「お姉ちゃん」34歳
65話のみ時間軸が少し遡っている、あの手紙は「あと1年」の頃に書かれたものである。
アルミナとズミの語り、そして「あたし」の日記、これらは後に一冊の本へとまとめられ、彼等の生きた証として残り続けることになる。
その本を書くために、「マリー」はアルミナとズミの話を聞き、「あたし」の日記を借りた。
これはその本の「原型」である。
皆さんには、「マリー」が【本という形で紡ぎ出したものを見て】いただきました。
2017.7.5