ポケモンには死体を挟む隙がない

 ツイステはヴィランモチーフで要するに「悪者ばかり」だから悪くなる隙が沢山与えられていていいなあと思うし悪くなればなる程にいいぞいいぞとなれる風潮であるの、面白いね。みんなみんな落としどころを見つけられず中途半端なまま、オバブロしたって命かけたって何にも解決しないまま、悪いまま、隙だらけ、それが許される世界、生温く小綺麗で捻れた夢の世界。でもそんな美しさが「許されない世界」で育ってきた現実の私はその隙を隙のままで置くことがかなり難しかったので、妄想の中、夢見る愚かな死体を沢山作ってその隙というか穴を埋めてはい大満足! 大団円! みたいなの想像してほっこりしていたはずなのにどうして今更生きようとしてしまうのか、おかしいな。生き汚い隙を増やしてどうするんだよ。
 ただポケモンにおける悪ボスの方々にはこういう「死体」は似合わない。断罪と無念の象徴を差し挟む余地がない。だって大抵の場合既に断罪も報復も済んでいるものね。というか大抵のエンターテイメントが「そう」だよね。悪の暴走族、学級崩壊、みたいなこと毎月のようにやっているNRCが異常なだけでね……。

「私も死んだら大切にされるかしら?」(マーキュリーロード第三章)

 これ、執筆から3年以上経った今でも本気で思っている厄介な理念なのですが、ツイステの場合はそれさえ当てはまらなさそうなのがなんともはやという感じ。せいぜい、肥料になるくらいでしょう、植物園に埋めてください。トレイ・クローバーの苺に化けるかジェイド・リーチのキノコに化けるか見ものですねふふっふほらやっぱり捻れすぎているよこの地獄。でもこれくらいぶっとんでいる方が今は「楽」でとてもよいなあ。

© 2025 雨袱紗