【カーラ編:どこぞのあかん大人からの暴力から逃れ、自由を求めて逃げるアンドロイドと非力な少女のなんやかんやある物語】
(コトネがアンドロイドの場合 → クリスは虐待による精神性失声により人間とは意思の疎通が困難?)
『貴方だけでも逃げて、此処にいたらまた壊されてしまう』
私は「安堵」した。つい先ほどまで命令に縛られる身であったことを恨んでいたというのに、今は機械の体であることがどうにも「喜ばしい」。
だってあの大人には、この優しい人の声をどうしたって聞くことができない。訓練を積まなければ、人の唇の動きだけで言葉を読み取ることは困難を極める。
でも私には分かる。私にはこの温度のある生き物と意思疎通を図るための機能が余すところなく搭載されている。
演算能力は高くない、機体の強度も粗末で体も大きくない、非力な子供のアンドロイドだ。そのように造られている。当然のことだ。
その代わりに私は人の意思が分かる。人の表情から感情を読める。だから彼女が怯えていることも、その中で必死で私を逃がそうとしてくれていることも、分かる。
機械であるという運命にかけられたその「理解」という機能は、私への最大の「慈悲」であるように思われた。
私は「嬉しい」。この人を守るために走り出せることが「嬉しくて堪らない」。
「大丈夫だよお姉ちゃん、一緒に行こう。置いていったりしない。私、もうお姉ちゃんを守れるんだよ。守ってもいいようになったの」
『……私を、守ってくれるの? どうして? 私のことを、コトネは忘れてしまったんでしょう? なのに』
「そうだよ、でもお姉ちゃんは覚えている! だから教えて、これからも沢山。だって貴方はずっと私のお姉ちゃんだったんでしょう?」
窓から外に飛び出し、部屋の中で未だ戸惑いを見せる彼女に手を差し伸べた。大丈夫、と、人を安心させるための言葉を紡いだ。
それは彼女の為の言葉であったはずなのに、変異した私のストレスレベルまで一気に下がってしまったから、またしても「嬉しく」なった。
まるで、人間になれたみたいだ。本当の、家族になれたみたいだ。
「上手く逃げきれたら、私のことを褒めてね。お姉ちゃんが、初期化される前の私にそうしてくれていたように」
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(シルバーがアンドロイドの場合 → コトネは同年代の泣き虫な少女、クリスやアポロとは中盤で出会う)
……いや待ってこのルート考えてたけど普通に上の方でいいや、うん、構わん。