(カーナビに搭載されているTV、目の特集を見ながら)
「結局、近視と遠視ってのはどっちがどっちなの?」
「近視は「近いところしか見えない」やつで、遠視は「遠くのところしか見えない」やつ。
近眼って言われたら遠くの標識とかが読めないし、遠視だと近くの小さな文字、新聞とかが読めなくなる。老眼ですね」
「へえ」
「近視は生活環境とか遺伝とかもあるけれど、老眼はまぁ、人類におしなべて平等に訪れるものだからどうしようもないんじゃないかな」
「そうなんや」
「私の両親は52と53やけど両方とも既に老眼やから、××もあと10年程度で仲間入りですよフフフラダリ」
「え、そんな早い?」
「早いですよ、こればかりは逃れることは……」
「こう、遠くを見るとかして老眼を防ぐことはできないの?」
「(遠くを見るようにするってそれ近視対策のやつやけれども)
老眼を予防するってのは……聞いたことがない……かな? いや私が知らないだけなのかもしれないけれど……」
「そうなんや」
「あっでも、でもあれですよ、最終兵器の光を浴びて永遠の命を手に入れれば老眼とかそういうのもう関係なくなるのでオススメですよ」
「……えっ?」
「カロス地方にあるんですよ、ほら、ダリのいる場所です」
「ああ、フラダリさん。え、ポケモンってそういう話なん?」
「そういうところなんですよお。永遠の命が手に入ってしまうんですよお」
「……へえ」
「でもそのためには3000年前の戦争に駆り出されて一回死んでおく必要があるんですよ」
「は?」
「そんでもって3000年前の王様に愛された上で最終兵器を起動してもらわなきゃいけないんですよお」
「う、うん?」
「もともと最終兵器ってのは「愛したポケモンを蘇らせるための装置」だったから、使ってもらえないことには意味がないんですよね」
「……」
「だから、あらかじめ3000年前の王様と愛を育んでおいて、そんでもって適当に死んでおいて、
「やっべこいついないと生きていけねえわ蘇らせなきゃ」ってその王様に思ってもらわなきゃいけないんですよ、お分かりかしら?」
「……えっと、え、王様って男?」
「あっそうですね。失念していました、いきなりBLフラグ……」
「……お、おう」
「まあそういうことなんですよフフフラダリ」
「そっか、……じゃあ、いいかな」
「え?」
「俺は老化を受け入れる」
「あっはっはっは」
「え、そんなおかしい?」
「いや、いやいやいいんですよ。でもいいんですか? 取り敢えず最終兵器をちょっと起こしてもらえば老眼にもならないし3000年くらい余裕で生きられますけれども?」
「うん、それはよく分かったんやけど、その永遠の命の代わりに大事なものを失ってしまうような気がして」
「あっはっはっは」
*
私の馬鹿みたいな話題にお付き合いくださるという点において、この人には本当に、本当に感謝しています。
あと私が日常的に「フフフラダリ」と口にしているせいですっかりフラダリさんは覚えられてしまいました。
この調子で四天王のことを覚えてもらおう、次はチスだな(???)