「ワタクシは弱くない! ワタクシは負けない!」

 これ。これです。セイボリーの神髄。
 愉快を極めたセイボリッシュワードの数々も、ニコッと微笑みながら放たれる優しい言葉も、最後の最後に放たれた「たちが悪い!」も大好きなのですが、私の中での一番はこれです。これなんです。私が「この人だ」と確信したのはこの台詞とあの表情を見たときでした。セイボリー二戦目、ラスト一匹の時の台詞なのでシールドDLCを遊んだ方なら皆さん、見覚えがあるのではないかなと思いますがどうでしょう?
 流石にこの台詞だけでリーグカードの記載内容にあったような辛いあれこれを予知することはできませんでしたが、それでも「この人は『強くなければいけない』『勝たなければいけない』と思っている」ということは、この台詞から容易に読み取れてしまいますよね。また「この人は敗北により生じる何か(他者からの叱責や落胆か、それとも自己否定感か)をこの上なく恐れている」ということさえ察せてしまう程の、迫真の表情を浮かべてもいましたよね。そうなんですよ表情、表情! この繊細な表情を表してくださるようになったからなあSwitchのポケモンというのは! ビートの瞳の色の変化もローズさんの片方だけ吊り上がった眉とかもめちゃめちゃ情動的だったからなあ! 好きだ! 嬉しみが深い!

 そしてここぞという迫真のところにセイボリッシュワードも気品も見えないというのがまた最高に素敵。切実に、必死に、懸命に何かを喋るとき、彼はセイボリッシュワードを捨ててしまうんだ! ただがむしゃらでひたすらであろうとするとき、彼はエレガントであることさえ忘れてこんなにも心を開いてくるんだ! そう解釈するに足る勢いがこの台詞にはありました。息を「飲まされる」程の衝撃でした。

 やっぱセイボリーってすごいなあ。

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