「手を、殺いでください」
→ 当サイトにおける自己犠牲の原点。シアは人の命の重さをそれなりに分かっている。分かった上でそれでも差し出そうとすることに意義がある、という驕りを常に抱えている。このような破滅的な自己犠牲を片翼以降も幾度か重ねているが、それでも彼女が五体満足かつ健康体でいられるのは、ひとえに周りの人の配慮や優しさを食い潰すように生きているから。
「私を忘れないで」「私、眠りに行くんだよ」
→ こちらは本当に自己犠牲を行ったパターン。シェリーもミヅキも命の重さが分からない程の愚鈍ではない。ただ、願いを叶えるためには代償として何かを捧げなければならず、その何かは大きければ大きい程にいいと思っている。木犀やマーキュリーロードの彼女達にはもう、差し出せるものがこれしかなかった。
「それでは皆様、明日から、よい一日をお過ごしください」
→ 真正かつ重度の感覚麻痺を起こしている。真面目な顔をして人の価値や命の重みについて説く癖に、自身のそれについては露ほどの執着もない。上の三人は命の重みを知っているからこそその一部ないし全部を差し出そうとするけれど、ユウリは命の重みを知らないからこそ、ゴミを捨てるような感覚で実に呆気なく手放そうとしがちである。詰まるところやはり愛着がないのだ、それに対して。
(おまけ)
「私の世界は私とNを中心に回っているのよ」
→ 命を捧げて「死ぬ」のではなく、命を捧げて「生きる」ことを選べた最初の人。トウコには端から死ぬなんて選択肢はなかった。10代の多感な少女にあるまじき安定しすぎた精神の持ち主であり、その基盤には勿論のこと、Nがいる。