ずっとお慕い申し上げておりました。貴女様に焦がれて生きてまいりました。貴女様はボクの憧憬の全てであり、神に等しい存在でした。サイキッカーとして振るったボクの読心も、ボクの未来予知も、貴女様の神秘を暴くには足りないのです。そうした高みにおられる方だと心得ています。それでも貴方様が人の形であることにボクは心から感謝申し上げたい。だからどうか、どうか、神様!
「貴女の慈悲をどうか貴女に」
「……ふふ、私に?」
「愛しているんです、貴女のことを。だからどうか愛してください、貴女のことを」
この愛は破綻している。これは信仰である。神への信心である。それだけで十分である。ああ、にもかかわらずこの女性の形をした何者かは神にさえなってくださらない。彼女はイツキの神には決してならない。神の寵愛を受けるのはただ一人である。それがイツキでないことを既に心得ている。だからもう彼は、この神様の幸いを祈るほかにない。ああ、でも。
「ボクも青ければ、貴女に愛していただけましたか」
揃いの青は神に愛される器の必要条件であり、この男では受け止めきれない。故に信仰であった。信仰とするしかなかった。それが彼女に示し得る愛の限界であったのだ。報われない想いを理屈付けるために、神という偶像は都合が良かった、それだけのこと。
(HGSSの世界にいるクリスさんが「異質=物語の外にいる存在」であるとぼんやり見抜いてしまっているイツキさんの話)