O、7番道路~キルクスタウン

ナックルシティの東側から8番道路へ向かえるのですが、その前に、駅前でソニアさんと話をします。
剣と盾の伝説について、彼女は彼女で独自に調査を進めているようですね。
最初は「おばあさまに認めてもらうため」として動き出したソニアさんですが、
今では歴史の中に埋もれた真実を知るために、という純粋な探究心が彼女の背中を押しているようにも思われます。

研究を続ける女性はかっこいいなあ、と思っていると、突如ナックルシティ全体に大きな揺れが起こりました。
ローズ委員長の地下プラントがある場所、ナックルスタジアムが大きな揺れを起こしているようです。
更にソニアの所持している「パワースポット探しマシーン」が強く反応しているところから、無差別に町のポケモンがダイマックス化するのでは、と慌てる素振りを見せます。
そこへやって来たダンデさん。ローズ委員長が何かの実験をしているようだ、と報告してくれるのですが、
パワースポット探しマシーンが強く反応しており、ポケモンがダイマックスする危険があるとソニアが告げると、委員長に知らせておくか、と動きを見せます。
さあ、これは異変調査に赴くべきなのかな、とかなりわくわくしていたのですが、此処で驚くべきことが。

「わたし、楽しみなんだよ。あなたが戦う決勝戦。だから揺れのこととかはわたし等大人に任せて、キルクスのジムバッジ、取りなよ!」

とだけ告げて、な、なんとダンデさんとソニアさんの幼馴染コンビ、主人公を置いて颯爽と去って行かれたではありませんか!
え、こんなことがあっていいんですか。
だってこのゲーム、ポケットモンスターですよ? 主人公が半ば強引に悪の組織との対峙を繰り返させられヒーローに祭り上げられる、あのポケットモンスターですよ?
(そういう、強いポケモントレーナーである少年少女の運命性が大好きなのであって、過去作を貶める意図は全くございません。むしろ、あれを好んで遊んでいたのです)

……今回のゲーム、攻略本のインタビューを拝読する限りでは「ポケモンの原点回帰」「最も王道なポケモン」を目指したとのことだったのですが、
ただ、このやや理不尽な運命性に魅力を感じていた身としては、この理不尽な感じが一切ない今作の「綺麗すぎるガラル」には強烈な違和感を覚えずにはいられませんでした。
歴代のポケモンにあったはずの、あの悪の組織との対峙がない。理不尽な運命性によりヒーローとして名を馳せていくという流れがない。
今作の主人公は、一人のジムチャレンジャーとして堅実に名前を知らしめていく「守られた子供」に過ぎません。
それはとても幸せなことであるで、本当は子供とはそう在るべきなのに、……物足りない、と感じてしまうあたり、
私はだいぶポケモンというものに対して歪んだ愛着を持ちすぎているような気がしますね。
ただ、楽しく旅ができて、ジムバッジを一つずつ集めて……といったごく普通の旅ができるという今作は、主人公にしてみればとても、とても素敵なものだろうなあ、とも思います。

ダンデさんとソニアさんが立ち去ると、ナックルシティの駅からホップが姿を現し、7番道路での再戦を申し込んできます。
橋の上、と呼ぶにはもう橋の9割8分を渡り切ったあたりの位置でのポケモンバトルですが、受けて立ちましょう。
手持ちはオーロット、パルスワン、カビゴン、クイタラン、エースバーン(御三家)の5体になっていますが、ウールーの姿はやはりありません。何処に行ってしまったの……。

(南の方向を見て、腕を頭の後ろで組みつつ)
「旅に出る前……。テレビで観ているアニキはただただ強く眩しかった。今ならどれだけ強いのか……オレに何が足りないのか分かる」
(腕をほどき、こちらへ向き直る)
「だけど、オレも強くなっているぞ! オマエよりスピードは遅くてもな。相手してくれてサンキュー! ポケモンを元気にするぞ」

(回復後)
「オレの願いが分かってきた……。オレはアニキと戦いたい……! いや、無敵のチャンピオンであるアニキに勝ちたいんだ! 勝つんだ!
決めた! キルクスタウンでジムバッジを勝ち取ったら、またオマエにビシッと挑むぞ!」

少し元気になったと思しきホップの言葉を聞けたことに、心から安心いたしました。
やはりホップは強い子でした。そうだよなあ、他者を貶める言葉にあそこまでショックを受けて、それを原動力に自己を鍛えようと思えるような子が弱いはずがなかったのだよなあ。

「誰かのために力を振るえる人」というのは、もうその行為だけで十分な強さを孕んでいるものと信じています。
ただ、その力の奮い方に全身全霊を込めすぎると、その行為が報われなかった時に多大なショックを受けて立ち直れなくなったりすることがあるため、
臆病な人間は「適当に頑張る」ことしかできないのが現状です。
数々の期待と落胆、歓喜と絶望の類を繰り返し体験してきた方であればある程に、この「臆病」の傾向が強いような気がしますね。
……勿論、悪いことではありませんよ。防衛手段として臆病というのは最も効率的な美徳だと私は考えています。
だからこそ、非効率的に誰かを想って先のことを顧みず力を振るえる幼さというのはどこまでも眩しかったりするのですけれども!

7番道路と8番道路ですが、此処でのイベントは特にありませんでした。
一般的な草むらで構成された7番道路は、8番道路方面である北側と、スパイクタウンという町がある東側に道を伸ばしていたのですが、
スパイクタウン側にはエール団が道を塞いでいましたので、大人しく8番道路方面からぐるりと回ることにしましょう。

8番道路は遺跡めいた造りになっており、ハシゴを上ったり下りたりしながら先へと進んでいきました。
タイレーツ、という、6匹の可愛いヘイホーみたいな子がぞろぞろと壁の穴から行進してきたのには笑いましたが、無事ゲットして図鑑を埋めつつ先へ進みます。
そうそう。此処にあるテントにお邪魔すると、イーブイやその進化系たちと戯れることができます。ニンフィアだけいないのが寂しいですが……最大数の関係で致し方ありませんね。

8番道路を抜けると「湯けむり小路」という洒落た名前の僅かな道路が目に飛び込んできます。
ガラル地方では初めて見る「積雪」の描写に興奮していると、お、おやおやおやいるじゃないですか、氷タイプらしき可愛い子が!
ということでユキハミを捕まえて「ぷっちょ」と命名したのですが、この子、どう見てもぷっちょではなくマシュマロです。マシュマロでした。やっちまったぜ!(?)
あと、此処ではダルマッカに出会えます。氷タイプを持つ、ガラルのすがたをしたダルマッカです。
ぴょこぴょこと踊っているモーションはBW時にもあったはずなのですが、色味の関係か、あの頃よりもずっと幼く愛らしく想えます。かわいいね。……かわいいね!
ただこちらのダルマッカ、ソード限定のようですね。
今作ではソフト限定のポケモンがかなり多いので、図鑑集めにはたいへん苦労しました。手伝ってくれた仲間よ、本当にありがとう!

さて、7番、8番、湯けむり小路と進んで、ようやくキルクスタウンに到着です。
どうやらこの町は温泉街として栄えているらしく、町の中央に「英雄の湯」というものがあります。
今はポケモンしか入浴を許されていませんが、人間に害のある物質が検出されたための規制なのか、それとも公衆の面前で風呂に入っちゃいけないよというアレなのか……。

ブティックでは待望のワンピースを見つけ、溜めていたおこづかいを勢いよく散らして好みの色を複数購入しました。
SM/USUMにおいてワンピースが廃止されてしまったのがかなりショックだったので、この復活は本当に喜ばしいものでした。おかえりワンピース!

そしてホテルが通りの東側と西側に1軒ずつ設けられています。
ホシガリスによるきのみ盗難事件を解決するという申し訳程度の探偵要素にテンション爆上がりになったり、
ゲームフリーク御一行様が宿泊している部屋を見つけたり、そこで「揺れないおまもり」という「捕獲クリティカル」が出やすくなるおまもりを貰ったり、と、探索を満喫しました。

各所にいるガラルダルマッカやユキハミたちに「こんにちは」と挨拶しつつ、キルクススタジアムに向かうと、今しがた敗北してきたと思しきホップと顔を合わせます。
岩タイプの対策をしておけよ、とアドバイスを頂き、その上にリーグカードも渡してくださいました。ありがとうホップ……。
折角ですのでこの場で確認しておきましょう。ジムリーダーのマクワさんですね。

「未来のチャンピオンと目される若きホープ。岩タイプで連想される無骨さを無くし、スタイリッシュな戦いで勝利をもぎ取ろうとする。
ファンサービスがよく、観客からも人気だが、試合に負けると何も言わず控室に引きこもるため、レポーター泣かせという意外な一面も持つが、
女性ファンにはそこもチャームポイントらしい」

サングラスと長く伸ばした金髪が少し恐ろしさを感じさせますが、その奥に隠れている目には確かに、ちょっと覚束ない幼さが残っていますね。
岩タイプということなので、草タイプのワタシラガとわが軍のごり押しのプロであるインテレオンが大活躍しそうです。

勇んでジムミッションに向かったのですが、な、なんかナユがその両手に懐かしいものを握っているじゃないですか! そ、それはダウジングマシン!?
とか思っていたのですが、これは「落とし穴探知マシーン」であるとのことで、隠された落とし穴をこのマシーンの検知で捉えつつ、先へ進んでいくというものでした。
何度検知を誤り落下したか知れず、ボロボロになりながらもなんとか先へ進み……途中でジムトレーナーとも戦いつつ、なんとかジムミッション、クリアとなりました。

マクワさんもサイトウさん同様、丁寧な口調で喋る方であることに多少の驚きを覚えつつ、いざ、ジム戦です。
彼の手持ちは……って、うわぁボールの投げ方!
くるんとその場でバク宙しつつ、ボールをアンダースローで勢いよく投げてきます。
その後、何故かこちらを真っ直ぐ見ることなく、後ろを向いて振り返るようにフィールドの様子を窺うのみです。
ポケモンへの指示は右手をこちらに向けて、バン! という銃を撃つようなモーションで行うというかっこよさです。成る程これがファンサービスなのだな! 痺れます!

さて、手持ちはガメノデス、イシヘンジン、ツボツボ、そしてキョダイマックスするセキタンザンです。
イシヘンジンはとても顔が可愛らしく、その登場にニヤニヤしてしまったのですが、この姿、ターフタウンにあった石碑にとても良く似ているのですよね。
どうやらイギリスの世界遺産でもある「ストーンヘンジ」を模したポケモンであるようです。
ちなみにこちらもソード限定、対になるのはおそらく、氷タイプの波平……ではなく、コオリッポと呼ばれるポケモンであると思われます。

実は、ソードとシールドでジムリーダーが変わるのはラテラルタウンだけではなく、このキルクスタウンもそうであるようで、
シールドではこのマクワさんのお母様であるメロンさんがジムリーダーを務めており、氷タイプを駆使して戦ってきました。
サイトウさんがソード限定であるネギガナイト、マクワさんがソード限定であるイシヘンジンを繰り出し、
オニオンくんがシールド限定であるサニゴーン、メロンさんがシールド限定であるコオリッポを繰り出す……。
うん、非常にバランスの取れた素敵な組み合わせではありませんか。こういった新規ポケモンおよび限定ポケモンの魅せ方が工夫されているというのも楽しめていいですよね。

「まだよ! まだ崩れ去って砂とはなっていない! 戦う!」(ラスト1匹)
「山のような岩となれ! ええい! キョダイマックス!」(ダイマックス時)
「穴があったら入りたい……。いやここは、落ちてしまいたい、か」(勝利時)

こちらのダイマックスは全てインテレオンで行っていたのですが、ダイストリームにより雨が降る中での勝利ばかりだったので、
お相手のジムリーダーさんもびしょ濡れにさせてしまい、微妙に申し訳ない気持ちになりつつ、
いやでも雨に濡れるジムリーダーさんも素敵ですよ、などという邪な称賛を心の中でやらかしたり……などしていました。
いけないなあこれはとてもいけない。

と、このタイミングでテブリムが進化し、ブリムオンとなりました。
背が高い! 2.1m!? キテルグマさんと同じじゃないですか! そしてゲーチスさんよりも10cmだけ高くいらっしゃるじゃないですか! なんということだ! 好きです!
ですがそんな高身長にもかかわらず、重さは5.1kgしかありません。
自らを大きく見せるための髪や衣服のような部分は虚像であり、本体はテブリムの頃と変わらないくらいの小ささであったりするのでしょうか。うーん、可愛らしい。
進化したことで新しくフェアリータイプが追加されました。成る程今作のサーナイトという訳か、これは好きになってしまうのも納得というところですね。
(サーナイトは普通にワイルドエリアにいるけれども)

「お見事……でした」
「ぼくのことは気にしないでください。トレーニングに励むだけですので」
と、静かな祝福とスマートな対応を見せてくださったのですが、え、でもこれリーグカードの情報によると、マクワさん、今から控室に引きこもってしまわれるのですよね。
レポーターさんにやや申し訳ない気持ちになってしまいます。す、すまないね。勝ってしまったものだから……。

2019.12.8

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