当サイトの連載「マーキュリーロード」におけるミヅキのイメージイラストとして、夜那さんより頂きました。
畏れ多くもタイトルを付ける権利まで下さいましたので、熟考の結果「ー27等級の幻星晩餐」としております。
+ ありがとうございました!
こちらは「彼女の夢が叶う時」を想定して描いてくださったとのことなのですが、これを「夢」と想定した場合に気付ける点が幾つもありました。
1、マーキュリーロード時点では11歳である彼女が大人っぽく成長している
2、にもかかわらずルザミーネさんの与えたワンピースやシルバーリングを未だ身に付けている
3、食べられるはずのない宝石、飲み下せるはずのない海の色を口に運んでいる
4、光がミヅキにのみ当たり、その周りの描写が真の暗闇である
4'、本編で「光の傍が最も暗い」として排斥されることを恐れ続けた彼女が「舞台(画角)の真ん中」で「輝いている(スポットライトを浴びている、とする方が適切でしょうか)」こと
3'、アローラの文化に馴染めず、美しい彼等と同じ美しいものを食べられないことに絶望していた彼女が、その「美しいもの」の象徴たる海色の宝石を澄ました表情で、さも当然のように食べようとしていること
これらはそのまま、第一章のミヅキが心から望んでいたことであり、それが叶っているというのは彼女にとって正しく「夢のような光景」であると言えます。夢が叶う前のミヅキは本来、背景部分の暗闇に押し遣られるだけの存在であったことを考えると、彼女の姿がこうしてくっきりと見えているというだけでも十分に感慨深いものがありますね。
2'、ただこのミヅキは同時に、その宝石の象徴たる存在としてルザミーネさんやリーリエに、憧れを主とする様々な感情を抱いていました。だからこそ、夢が叶い成長した姿でありながらも、ルザミーネさんに見繕ってもらったワンピースと、リーリエの指に嵌まる予定であったシルバーリングを手放せずにいるのかな、とも思えてきます。
1'、以上を踏まえて考えた場合、このミヅキは「第一章時点でミヅキが眠ることを選ばず、かつルザミーネさんの傍を選び続けた場合に訪れていたかもしれない、彼女が夢を叶えた姿」ということになりますね。
と、此処までがこのイラストに関する考察っぽい感想です。ただ漫然と「きれいだなあ」とするにはあまりにも情報量が多いように感じたので、いろんなところに踏み込ませていただきました。答え合わせも含め、たいへん楽しいひと時でした。大体合っている、とのお墨付きを頂いたので、感謝の気持ちを込めてこのページに置いていきます。
この絵、完成までに膨大な時間が掛かったとのことでした。それだけの間、ミヅキのことを考えてこれを描いてくださったこと、そしてそれだけの時間を掛けてミヅキの夢を叶えようとしてくださったこと、本当に嬉しいです! イラストは勿論のこと、彼女について沢山考えながら描いてくださったという、貴方の時間とお気持ちも含めて私の宝物にさせてください。
改めまして夜那さん、ありがとうございました!
+ タイトルについて
畏れ多くも命名権を頂戴いたしましたので、久しぶりに本気でタイトルを考えました。イラストにタイトルを付けたのは初めてのことかもしれません。楽しすぎて興奮極まった結果、ちょっと右腕が疼いてしまう感じの文字並びになってしまいましたが……。
ー27等級の「等級」は、星の明るさを示す単位ですね。夜空の星を指して「一等星」「四等星」と等級付けを行いますが、どうやらこの等級、ずっと明るくなっていくとマイナス側に振り切れてしまうらしいのです。金星は夕暮れ時の空にかなり明るく輝きますが、あの星の最大等級はー4.7くらいになるのだとか。金星よりも遥かに明るい、桁違いの輝きを持つ星といえば……もうあれしかありませんよね。
本編中で何度も「光の傍が最も暗い」と嘆いた彼女が「光」の側になった夢幻の光景、それがこのイラストには詰まっている……ように感じます。水星の暗さを知る彼女が見た幻、叶えた夢がここに在る。ならばやはりこの彼女は小石でも端役でも水星でもなく「ー27等級の星」であるべき。
彼女が食べようとしている、宝石のような海のような星のような美しいものが、せめてあの日のマラサダよりずっと美味しいものであることを願っています。