いくら魔法使いと崇敬する方であっても所詮は赤の他人、そんな人の前で泣いてなどやるものかと思っていたけれど、ああこの人の前でなら耐えられなくなっても大丈夫、とか、私が間違っているとは絶対に言わないだろう、とか、確信できる人を前にすると言葉も涙も見境なく落ちてくるものだなあ、と……思って……。
時間もお金も捨てているだけ、取り戻せるものなんかもうない、結果が出せないまま終わってしまったとき、頑張ろうとはきっともう思えないだろう。死にたいというのではないけれど、生きていたって辛いだけなのは分かりきっている。楽しいことも嬉しいこともあるはずなのに、ずっと苦しいだけのような気がしている。もういいんじゃないかなと思う。
ただこれらの思考全て2週間前から薬漬けになるのと同じタイミングで勢いよく溢れ出てきたものなので、来月、薬が減って、こんなこと何も考えなくなって、ケロッとした顔で受診してしまっていたら、すみません。
「ええ、それが、そうなるのが一番いいですよ」
普段から「それでいいと思いますよ」と言ってくださる方なのに、今日の肯定だって同じようなもののはずなのに、今までで一番痛かったな……。いやそれまでに考え方がネガティブに寄りすぎていることへの指摘は沢山していただいたけども、でも最後には「それでいい」で締めてくださる方なんだよな。「それが」のところで身を乗り出してきたものな。目を合わせようとしてきたものな。あんな必死なの初めて見た。
そして何より危険なのが、何より凄いのが、この方の誘導なんて何も受けていないはずなのに、この方が「それでいい」と肯定して大丈夫だと判断してくれる範囲まで私の精神が持ち直しているってことなんだよ。それまで考えもしていなかったことがこの魔法使いを前にするとボロボロ出てくるんだ。なんかここで頑張らないのは勿体無いんじゃないかって思えてしまうんだ。何も解決していないのに、この人は本当の魔法使いではないし、その肯定で私のこの不毛な生活が終わる訳でもないし、いつ失うのかびくびくしなくてよくなる訳でもないし、捨てたお金も時間も戻ってこないし、それでも、まだ頑張れるんじゃないかって思えてしまうんだ。