魔法使いと話をしてきた

 馬鹿げた民間療法を持ち出されるのは嫌いだし、やっぱりそれってとんだ的外れなんだけれど、現状改善のためにそれをしようとしている人のことを否定したくはない。
 期待はしないけれど、取り組みに対する感謝はしようと思う。とんだ的外れで、功を奏することなどほぼあり得ないけれど、その医学的事実に対する理解を求めることはせずにありがとうとだけ言っている。双方の心を守るためにはこの辺りが一番いいラインのような気がしている。

 ……とか、つい直前まで思ってもいなかったはずのことがするする口から出てきて、ああそうか本来はこう考えてこうするべきだったんだなと、自分の言葉にはっとさせられて、これからはそうしていこうも無理なく自然に思うことができて、そしてやはり、やはりかの魔法使いは私のそうした宣誓に対して「そうですね。それがいいと思いますよ」とにっこり微笑むだけなんだ。

 いや、すごすぎなんよほんまに。

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