一体誰が怪物で誰が人間だったのか(ノートルダムの鐘)

 劇団四季の……最後のあれ。住民たちが顔にペイント塗っていくやつ……怪物と人間の心持ちと姿が一様に入れ替わっていく様……あるいは同化していく様……本当に綺麗だったなあ。また見たいなあ。
 きっとこの二者に境などないのだと何度考えても思い直しても私は怪物側の人間だと思うし、ではいつ踏み越えたのかと問われれば14の頃まで巻き戻っていくしかないし、でも怪物めいた考えを抱えながらペイントを塗らず人間の形をしていられることに私は安堵しているし満足もしている。そして真に人間だったノートルダムの鐘のカジモドがあんなにあの、怪物だらけの世界で「生きづらそうだった」(人間は彼を含めてほんの僅かだったからね)ということを考えると、私が嫌なこと沢山ありながらもこの世界で平穏無事に生きられていることを踏まえてやはりこう考えずにはいられない。やっぱり私の周りにいる奴等だってみんなみんな怪物だったじゃないか。田舎ってどうしようもない。

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