白雪姫の母とシンデレラの母とラプンツェルの母と

 白雪姫の継母はただの嫉妬で、トレメイン夫人はただの強欲じゃないですか。その嫉妬や強欲のためにあそこまでやれてしまうからこそ、当時子供だった私は恐れ慄きながらもぐいっと引き込まれたのですけれども。
(余談ですが女性を鬼に例える文化の話が出てくると、私は白雪姫の継母が窓から彼女を睨み付けているあの表情を思い出すんですよね。私にとってはあれが「鬼になった女性」の姿でした。幼稚園の頃に白雪姫を観過ぎたようだな……)

 でもマザーゴーテルって「貴方が私にとって有益である限り守って育てて優しくしてやろう」っていう、前者二人が可愛く思えてくるくらいのえげつない外道じゃないですか。Nを息子と呼んだあのド外道ゲーチスでさえ命を脅かすような真似はしなかったというのに!(あくまでBWでの話)
 にもかかわらずラプンツェルへの声掛けは最後ギリギリまで本当に優しいばかりで、事情を知らない傍目には過保護の過ぎるお母様にしか見えない訳で……成る程これが、これこそが魔女の真髄かと戦慄せずにはいられなかったんですよね。

 あー、そっか。白雪姫の継母が鬼で、マザーゴーテルが魔女なのか。そんでトレメイン夫人の悪魔か。揃ったな、完璧である。

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