海は全てを憶えている(水の記憶事件)

 忘れたかったはずのことも全て、塩辛く肺に流し込んでいくので、全て吸い込んでしまってはもう生きていかれないんだ。たまに戯れで溺れゆくくらいが丁度いい。マリンチューブはその中途半端な我が儘を叶えうる構造をしている。あれほんまいいよなぁ。
 水の記憶事件、紐解いてみれば科学の錯視というか非常に面白いデタラメであるだけなのだけれど、それでも「水が記憶を飼っている」ってのは字面としてとても私に効くのだ。

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