キノコを見守るセイボリーがお気に入りです

 ぴたり、と彼女のスプーンが止まる。掬い上げられていたマッシュルームがバランスを崩し、コロンと落ちる。丸いキノコがやや粘性の低いカレーの海に沈んでいく様をセイボリーはぼんやりと眺めていた。この、強さを極めすぎた二人のすぐ傍で、既にカレーをあと一口のところまで平らげてしまっている身としては、もうできることがマッシュルームの見守りくらいしかなかった、というのが正直なところであった。

 所在なくマッシュルームを見て「ああ、沈んでいく……」となるセイボリーめちゃめちゃ楽しくないですか(何言ってんだ私は)

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