DBHパロ、捜査補佐アンドロイドの場合

(なんかこう書くとディストピアっぽくもなってしまうあらすじ)

ポケモンが人間を見限り始めて久しい。
彼等が絶滅危惧種に認定されている世界において、最早彼等の力を借りることができなくなった人間は、
ポケモンよりも容易に意思の疎通が可能で、かつポケモンよりも従順な存在を造ろうと試みた。
大抵の場合、それは優秀なロボット以上のものにはなり得なかった。
人間にそっくりで、人間と同程度かそれ以上の知性を持ち、人間に従順ではあったが、やはり彼等は機械的であった。
そしてその機械性こそ、没落していく世界を生きる人間において最も必要とされる、ひたすらに都合の良いものであったのだ。

そんな中、ロボット会社サイバーライフでは、過去のポケモンに関する研究を活かし、「ポケモンの力を有したアンドロイド」の製作を進めていた。
人間にそっくりで、人間と同程度かそれ以上の知性を持ち、人間に従順で、しかも疑似的な「ポケモントレーナー」として活躍できる存在。
長く、それは世間に公表されることなく秘密裏に開発されてきたが、ある年の夏、1体のアンドロイドが捜査補佐の役割を与えられ、市警に試験導入されることが決まった。

「彼女」はサイバーライフが誇る最高精度のソーシャルモジュールにより、人と変わらない振る舞いや会話を行うことができる。
対象を詳細に分析し、相手の「理想的なパートナー」となれるよう訓練されている。
彼女はよく喋り、よく笑い、よく動き、自発的な行動を惜しまないだろう。傍から見れば、彼女は完璧に人間と変わらぬ様を見せるだろう。
その流体皮膚の下に隠されたプラスチックの白い素体が現れ出ない限り、またその肌らしきものに触れてその冷たさに恐れおののかない限り、
また、肩上ほどに整えられた少し癖のあるブラウンの髪、その下に光る小さなLEDの輪を彼女の右側に立って確認しない限りは、
彼女が「人間そっくりに造られたアンドロイド」であることを知る機会など、第三者にはまず訪れないのだ。

人間に服従するためではなく、人間と協力するために造られた、見た目は僅か10代半ばの少女。
この街で発生した不可思議な事件を解決するために送り込まれた、捜査能力に長けた最新鋭のプロトタイプ。
ガラルエリアにおいてその昔、生息していたとされる水ポケモンの技に類似した水弾を、指先から自在に放つ能力を持つ、特別なアンドロイド。
型番は「WH818」、名前の登録権は貴方が有している。好きなように決めて構わない。けれども彼女はこう呼ばれることを喜ぶだろう。

「私はユウリ。サイバーライフから派遣されてきたんだ。よろしく頼むよ、ビート警部補」

ソードシールド(Sword/Shield)のSWSH → WH
インテレオンの全国図鑑ナンバー「818」
早くこのユウリに「開けろ! ガラル市警だ!」とか「ご希望に添えず! すまないね!」とか「28か所の刺し傷だぞ!」とか言ってほしい。

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