蜴さんへ。
(手紙っぽい表現ということで、肖らせていただきました)
再び遊びに来てくださりありがとうございます。
お名前も教えてくださり嬉しく思います……が、お恥ずかしいことにワタクシこの漢字が読めずに検索をかけてしまいました。いやぁ浅学で申し訳ありません!
トカゲと打ち込むと蜥蜴と変換されますが、蜴だけでも「トカゲ」の意味を持つ漢字なのですね。
日本語でごちゃごちゃと書き連ねることを喜びとしている身でありながら、人様の漢字が読めないとかいうこの失態……ハズカシイ……
しかし新しいことを知り、よい勉強になりました。ありがとうございます。
「やさしくありませんように」は本当にこう……「花を刈る悪魔の話」としてもよかったのではないかと思うくらいにズミさんが悪魔の様相を呈していましたね。
恋でも愛でもそうなのですが、誰かや何かを大切だという想いが過ぎてしまうと、人は盲目となりがちです。
そういう意味で、原作では冷静沈着で、心を乱すのは料理という芸術のことに関してだけ……といった感じであったズミさんが、
たった一人への想いが過ぎたことにより、盲目となり、自分がどれだけおぞましいことを考えているのかという点にもなかなか思い至れなかった……というこの変化は、
その「現象」こそ悪魔めいた恐ろしいものでこそありましたが、その「本質」はまさに彼女への愛であり、
その悪魔の姿こそが彼女への想いの証明となりうるもの、であったのかもしれません。
あ、わわ、それから「親愛ジャッジメント」もお読みくださったのですね。ありがとうございます!
カブさんは本当に、魅力的な人だと思います。
過去には大きな挫折を経験したことがリーグカードからも読み取れますが、そうした過去の険しさを感じさせない振る舞いと「ぼく」という一人称……。
あっ、この人普通じゃない(いい意味で)というのは、第二鉱山で出会ったときに感じていました。
ED後のトーナメントにて「強すぎるじじい」と自身のことを称しているため、彼は若くても50歳くらい、もしかしたら定年直前くらいである可能性さえあります。
そんな彼とのお話を、よりにもよって14歳の女の子とのお話を書くことに若干の躊躇いはあったのですが、
それだけ年が離れているからこそ、完全に大人と子供とで世界が分かたれている二人だからこそ構築できる関係もあるのではないかなと考え、短編化させていただきました。
【問題解決のために大人が率先して動いてるような感じがあって、すごく頼れる】確かにその通りでしたね。
今作では何かちょっとした問題とか、ポケモンの暴走などが起こっても、ダンデさんを始めとする大人の方々が鎮圧してくださいましたから。
子供の世界は、あの大人達によってしっかりと守られていました。彼等はできる限りそうするつもりだったのでしょう。
けれども、大人だけでは鎮めることのできなかったあのポケモンを、主人公が鎮め、ゲットすることにさえ成功した……。
あの瞬間、子供の世界を守り続けていた大人の役割は終わり、未来を担う子供達の時代が来たのかなと、そう感じました。
チャンピオン交代のあのファイナルバトルは、その「時代の交代」をガラル全土に「知らしめる」ための儀式に過ぎず、
ダンデさんはもう、戦う前からある程度、敗北を、チャンピオンの交代を、覚悟していたのではないかな……などとも思ったりしました。
ダンデさんに関する【ガラルの太陽】という表現にも「そう、そうなんですよ!」と首をぶんぶんと勢いよく縦に揺らしてしまいました。
あまりにも「理想のチャンピオン」が過ぎて、そのあとを継ぐ主人公にかかる重圧はとんでもないものであることは容易に想像が付きます。
カブさんも「ぼくたち大人は支えるから」とは言ってくださっていましたが、
「支える」と口にした次の瞬間には、主人公は「カブさんたちの支えられるような器ではなくなってしまっていた」ように思われて、
タイミングが、次世代への交代が早すぎたんだ、というような感じで、少しだけ、やるせない気持ちになってしまいましたね。
そういう話も、いずれ、小さな連載として形に出来ればいいなと考えています。
こちらこそ、嬉しく有難いお言葉を沢山ありがとうございました。
是非また遊びにいらしてください。お待ちしております。
葉月より。