今日だけ許可を貰って帰宅しています。モノが粗方なくなった部屋で一泊して、お世話になりましたと頭を下げて、出ていくつもりです。
私はこう……いろんな局面で家族に手紙を渡すことがあったのですが、今回はそういうこと、せずに行こうと思います。
文字は、いけないような気がしたのです。私の大好きなものを押し付けて去るのはなんだかとても狡い行為であるような気がしたのです。
私の大好きなものを乱用した暴行は、それを許してくださる方のところでのみはたらくべきであると考えました。
だから文字に頼ることなく、感謝の気持ちを告げなければならないと考えています。
その媒体となるのは、果たして何だろう。
声だろうか、その抑揚とかトーンとかイントネーションとかだろうか。あるいはお辞儀の姿勢だろうか。それとも涙だろうか。
よく、分からない。