Afterword

「掌に愛を読む話」全43話+13話、完結いたしました。
一気に43話もの長編を更新したのは初めてですね。なかなかに楽しかったです。
ここまで読んでくださった方、彼等の物語にお付き合いくださり、本当にありがとうございました!皆様の娯楽の一助であれたでしょうか……?

元々、GWに四季さんの「美女と野獣」を観劇して、その素晴らしさに丸一日放心状態となったため、この感動を何らかの形で残したい!という思いから連載を始めました。
最初は7話くらいですっきり収める予定だったのですが、まさかその6倍にまで膨れ上がるとは思っていませんでした。
全15万字、番外編も加えると20万字超えです。……いや、長い。長いって。

ストーリーの主軸はそのまま、原作の美女と野獣に沿っていますので、今回のあとがきではそこから少し逸れた内容を取り上げます。
当然のようにネタバレをしておりますので、既に本編を読んでくださった方だけどうぞ。
予め配役を知っておきたいという方は、項目1だけご覧ください。


1、配役

本好きの少女……シア
村一番の美少女……シェリー
城に住む野獣……ゲーチス
白衣の男……アクロマ
鏡台……トウコ
グランドピアノ……N
外套掛け……アブソルのダーク
置時計……ジュペッタのダーク
燭台のダーク……アキルダーのダーク
ポット……バーベナ(愛の女神)
羽箒……ヘレナ(平和の女神)
美少女の恋人……フラダリ
青い髪の夫婦……クリスとアポロ
本(「彼女」)……??

……うん、そりゃあ43話にもなる訳ですね。多いって。
一番悩んだのはアクロマさんの位置です。城の中に置くべきか、村側にするべきか、最後まで揺れていました。結果的にこの位置で綺麗に収まったのでほっとしています。
本と魔女の配役ですが、hpパロ番外「冷たい羽」にも登場したあの人です。まあ小ネタということでひとつご了承ください。

いつものようにトウコとN(モノクロステップから)、バーベナさんとジュペッタのダークさん(ヴェルヴェーヌの貝殻から)はくっついております。
シェリーとフラダリさん(神の花、木犀、樹海から)も参戦。ヘレナさんとアキルダーのダークさんは仲が良いだけでそうした関係ではないと思います。まだ。

それから、拙宅では3人のダークさんにそれぞれ個性を与えていますが、この連載ではそれが少々、色濃く出過ぎてしまいましたね。
こちらに軽く書いておくと、
アブソルのダーク(外套掛け)……一人称「私」、ゲーチスさんを尊敬、崇拝している。
ジュペッタのダーク(置時計)……一人称「俺」、不機嫌、ゲーチスさんに仕えているのは義務感から。
アキルダーのダーク(燭台)……一人称「オレ」、ゲーチスさんにはなんとなく(!?)付き従っていて、その状況を楽しんでもいる。好奇心が強い。
こんな感じです。ちょっと燭台のダークさん、今回ははしゃぎすぎましたね。
ちなみに、この3人の個性は元々、常連さんにご紹介して頂いたアイデアです。
こうしてお話の中にまたしても使わせて頂きましたこと、ご報告と感謝を此処で述べたいと思います。本当にありがとうございます。


2、解説、裏設定、裏話(ネタバレ注意

今回は随分とこう、ふわふわとした覚束ない雰囲気の中でお話が展開されたので、敢えて真相を明らかにしていない箇所が多々あります。
それらの解説、もとい、裏話を、キーワードごとに話してみようと思います。

1話、前半部分……ミスリード。シアちゃんが読んでいる「お気に入りの本」とは別の物語です。

1話、「以前、この村で本屋を営んでいた、青い髪の夫婦」……アポロとクリスのことです。こんなところにも出張して頂きました。

2話、「成る程、シェリーが私に向けられる好奇の視線に気付かないのもやむを得ない」……さて、気付いていないのは果たしてどちらだったのか。

3話、「この素敵な物語は、私の世界の外に在る」……キーセンテンス。

4話、アブソルとジュペッタ……城に女性を誘い込もうと画策していたのは、外套掛けのダークさんと置時計のダークさん。燭台のダークさんは完全に傍観の姿勢です。

10話、「彼」との出会い……未来のゲーチスの姿。この姿をこの時間に送ったのは「彼女」。

10話、「月がとても綺麗ね」……有名な文豪さんの意訳から、この時点で暗に、シアちゃんが「彼」に好意を抱いていることを示唆。

11話、シアちゃんのエプロンドレス……夢の国の映画、ないし四季さんのベルが着ていたあれを想像して頂ければと思います。

16話、「お前も、僕を軽蔑するのか」……ゲーチスさんの本来の一人称を「僕」とすることは最初から決めてありました。hpパロの「彼」の一人称とも揃えてあります。

17話、「彼はそんな私の言葉に、くつくつと喉を鳴らすように笑った」……キーセンテンス。

23話、本のタイトル「約束の魔法」……「彼女」の著書。hpパロ番外に登場。

26話、「私が一生、知ることができないと思っていた感情は、いつの間にか私の手の中にあったのだ」……キーセンテンス。

26話、「彼女」……Y(約束の魔法、冷たい羽に登場、執筆活動をするゴーストであり、魔法使い。)

27話、「お願いね、シア。もう時間がないの」……1話のプロローグで登場した、赤い薔薇が散りかけていることを示唆。

31話、見たいものを見られる手鏡……プロローグだけでは描写が足りなさすぎました。もう少しその存在を色濃く示しておくべきだったかもしれない、と悔いております。

35話、「けれどシアさん、貴方の魔法なら彼に届くかもしれない」……シアが持っていた本の物語と、この現実が重なり始める。

36話、「そんな白衣の優男に守ってもらわなくたって、私達は自分で戦える」……白衣の優男。

39話、「遠くで、ページを勢い良く捲る音が聞こえた気がした」……プロローグで登場した「魔女」の正体の示唆。

42話、「どのページの言葉も、私達が普段使っている言語に統一されていた」……タイトル「カノンの翻訳」の伏線を回収。

42話、「200ページを超えるその本の、」……このお話、パソコンのワードで書いていたのですが、計215ページにもなりました。記念にお話の中にも残しておこうと思って。

42話、「では、また次の物語で会いましょう!」……彼女(もしくはもう一人)はこの連載に限らず、パロディものの連載には必ず何処かに登場します。その布石。

43話、「ええ、私は魔法が使えるの」……シアちゃんのお気に入りの本の内容と、この物語が完全に重なる。「魔法が使える少女」とは、シア自身のことだった。

番外、3話、「ヒトは言葉に出さないところで、あれこれと気持ちを巡らせるから厄介だ」……Nとトウコの馴れ初めにおいて、この言葉は絶対に外せない。

番外、7話、「だがそんな「くだらない」ことなど忘れてしまえばよかったのではないか?……お前が、本当に諦めているのなら」……ジュペッタのダークさんは何でもお見通しです。

番外、12話、「「せーの!」」……モノクロステップ旧版の、二人が発した最後の台詞。修正版では台詞を変えてしまっていたので、此処に残しておきました。

番外、12話、(ある少女の記録)……「The diary」の意訳だと思って頂ければ幸い。


3、2冊の本の正体(番外編既読後推奨

「Case 1-3」で書いた通りなのですが、少し説明不足だったので此処でも解説します。

シアちゃんがアクロマさんから譲り受けた本をA、シアちゃんが城の図書室の中で見つけた本をBとすると、AもBも、著者は「彼女」。AもBも、実は同じ内容です。
Aは「彼女」が、これから起こる理想の未来を書いた本。こちらは理想であり、彼女の空想、夢物語。城の住人が人ならざるものであることは伏せて執筆しています。
Bは「彼女」が、城の魔法が解けるまでのことを書き記した、所謂、この物語全体。こちらは彼女の観察の記録であり、事実です。

「彼女」は、自分の書いた夢物語(A)が、一人の少女によって現実のものとなっていく様子(B)を最も近くで見届けるために、あの城に本となって紛れ込んでいたという訳です。
……ちょっとややこしくしすぎましたね。申し訳ありません。もう少しスッキリ纏められるようにしたいですね。今後の課題として、精進したいと思います。

長々としたお話にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。


『では、また次の物語で会いましょう!』


2015.5.22
2015.5.30(追記)

I’m looking forward to seeing you in the next world !

© 2024 雨袱紗