きんもせ いっぱーい

 私と一緒に金木犀を喜んでくれる人がいるってのはいいものだ

 そんな金木犀は先週金曜の豪雨ですべて流れてしまったのですが、子どもにとっては花がよく見える散った後の方が嬉しいらしく、こう叫んでは駆け寄っていきます。もう散ってから丸4日経ち、すっかり色褪せて枯れてはいるものの……そんなことお構いなしに両手ですくって楽しんでいます。

「もう色が変わったよ。綺麗なオレンジなくなったね、枯れちゃったねえ」
「オレンジ!」
「うん、枯れるっていうの。枯れる」
「かれる」

 まさか金木犀で「枯れる」を教えることになるとは思わなかった。木犀執筆11年後にしてはじめて知ったことなのだけど、どうやら金木犀ってのは散った後でさえもいいにおいがするし、枯れ姿になってもいわゆる腐敗臭がなくてドライフラワーみたいになるらしい。小さな枯れ葉の感覚で子どもは延々と遊んでいた。
 そっか金木犀って死臭がしないんだなあ。そっか、そっか。

 心地のいい生き様だなあ。

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