というのも、有難くも随所で頂くご感想の着眼点がかなりバラけていて、こちらとしても毎回違う場所に振り返りポイントを置くことになるから、読み返したり反省したりする度に新しい発見とか、良くも悪くも「うわぁ」となる箇所を見つけてしまったりで、とにかくなんか新鮮なんです! 自分の書いた連載なのに! なんだこれはもうワケ分からん! 楽しい!
ユウリ個人の「選択不能性」について心理学者様かな!? ってくらいに事細かく分析してくださったりとか、ネズさんとの関係についてただひたすらに優しい心地を見出してくださったりとか、ユウリのミスリードに乗っかってくださったりローズさんの本ネタバレ行為に本気で憤ってくださったりだとか、マグノリア博士の「若さ」に言及してくださったりだとか、最善が最愛になっていく様ではなく最善が最愛だったと気付く様だったとご考察くださったりだとか……! ひぇん沢山考えてくださり本当にありがとうございますうれしうれしみ
ただFileCとかCase4以降も彼女とネズさんを信じて読み進めてくださった、あるいは「いやこいつ何か隠しているな」と感じて推理を進めてくださった方、この方々はただでさえ読みにくい私の文章が更にややこしくなっていく様にお付き合いいただいた猛者でいらっしゃる訳で、そんな方々に手ぶらでお帰りいただく訳にはいかないんです。なので終盤、具体的にはコールドケースの解放・告解、ここまで読んでいただいた方にのみ彼女の欠落を、本当の欠落を開示するような構造にしているんですよね。
本当に、此処まで読んでくださった方には感謝しかございません。私とユウリの思惑を振り切って、物語を追いかけてくださり、探ろうとしてくださり、ありがとうございます。何を感じたか、はお人によって異なると思いますしどう感じていただいても構わないんです、ただユウリとネズさんの真相に触れたいと思ってくださった、その事実だけで私は十分に嬉しく思います。
あと、その更に後、マグノリア博士の回、唯一ユウリが主体となって喋る最終回、あと蛇足として付け加えたローズさんのミレニアム・ファンタジー・ラブ。この3本まで辿り着いてくださった方にのみ、各々の推理や推測や想定が「誰一人、完璧なものではなかった」という真相を明かすように設定しています。
安楽椅子探偵のネズさんにも、把握できていないことがあった。ローズさんのそれはある程度真理を突いていたけれどその解法はユウリの何をも救わなかった。マグノリア博士はユウリの選択の相手がネズさんであることを始めから知っていたけれど、彼女が「どのようにして」救われたのかについては一切知らないままだった。ユウリは最後まで「先に愛したのは私の方だった」という事実を知らぬまま、ネズさんが為した愛の定義にこそ支えられている。そしてCaseに登場した他の皆さんも、彼女の真相、選択不能性や遺書や愛についてのあれこれを、きっと最後まで知らぬまま。
この話は全員にとって「未解決事件」である。全てを把握しているのは最後まで読んでくださった貴方様だけ。そういう話です。そういう話のつもりで、書きました。
だからどのような形であれ、Crazy Cold Caseについてどなたかが言及してくださる度、こんなにも嬉しくなってしまうんでしょうね。だってそれは「最後まで読んでくださった」ということだから。その方にとってはもう既に、この「Crazy Cold Case(狂った未解決事件)」はもう「解決済案件」になってくださっている、ということなのだから。