First storm of the Sand もしくは 砂一番

(14歳のSNSデビュー、一気に万を超えるフォロワーを得てしまったがためにちょっと苦戦するユウリと、そんな彼女をSNSの世界に招待した手前、その動向を見守ることをやめられなくなってしまったキバナさんの話、の予定)

「芸能人になりたかった訳じゃないんだけれどなあ。ただの『ポケモントレーナー』ではいけないの?」
「数字は合理だ。万を超える人々が私のそうした姿を望んでいるという事実があるなら、……そうだね、変わる必要があるのだろうね」
「統計を取ったんだ。そうしたら皆様が、このようにすべきだと」
「笑いものに? 結構なことじゃないか! 私にはユーモアのセンスがないからね、私の滑稽な振る舞いを喜んでくれる方がいらっしゃるのなら光栄なことだよ」

「私は大丈夫だと言っているのに。信じていないね?」
「ねえ、炎上とやらも誹謗中傷も、私を対象にしたものだろう。どうして貴方が私よりも傷付いてしまうのかな。もしかしてキバナさん、私を過大評価している?」
「彼等は理由もなしに私を虐めている訳じゃないよ。私は隙を見せた報いを受けているだけ。正当な処遇には違いないよ。こういうときは静かにしているに限るんだろう? そうやって、貴方が、最初に教えてくださったよね?」

「ふざけないでほしい! 手を抜いて戦うくらいなら死んだ方がマシだ!」
「私はこの電子世界に振り回されて、使い捨てられたとしても構わない。貴方の目にそんな私が『おもちゃ』同然に見えていたとしても構わない。そんなのは優柔不断な私の自業自得だからね。でもこの状況を勝手に『地獄』だなんて命名して、そこから私を引き抜くために、私に負けることを強いるなんてのは、やっぱりどうかしているよ。私が、インテレオンに、そんなことを指示できるとでも? わざと傷を負わせるような試合運びができるとでも?」

「電子世界に飛び交うどんな暴言よりも、匿名で囁かれるどんな陰口よりも、目の前の貴方にそんな誤解をされることが一番辛い」
「嫌いだ。貴方のことが大嫌いだ。 私のことを大事に想ってくれている癖に、私の大事にしているものを蔑ろに扱おうとする、そんな、どこまでも傲慢でどこまでも的外れな貴方が、一番嫌いなんだよ、キバナさん!」

 ……あれっ、これ大論判三部作と同じ流れになってしまゲフンゲフン。

 阿部公房様の「砂の女」という素晴らしすぎる小説があるのですが、「欠けてしまって困るものなど、この世には何一つありはしないのだ」という趣旨のことを、主人公の男性が終盤に語っておられるんですよ。それまでのストーリーが壮絶であるが故にこの「欠けて困るものなんか本当は一つもないよ」という言葉の重みがとんでもないんです。それこそ、水を含んだ砂のような重い言葉なんです。「貴方様がそう仰るなら間違いない」と、頷いてしまえるだけの力がある言葉なんです。
 この素晴らしすぎる教訓を、何らかの形で物語に溶かし込めたらいいなと思っています。

 昨年11月、初見で捕まえたスナヘビに「すなのおんな」と名付けて育てていました。サダイジャに進化して、そのちょうかっこいい姿にそれはそれは喜んだのですが、でもこのスナヘビ、オスだったんですよね。「すなのおんな(男)」だったんですよね。うーん惜しい!

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