なぁ教えてくれセイボリー、君ならどうする

 君は本当にかけがえのない相手を救いたいと思った時、どうするんだ、教えてほしい。

 君に教わったことは本当に沢山あるよ。辛いことがあっても皆さんの前では元気に陽気に愉快にしていなくちゃいけない。過去の悲しいことや今の屈辱や焦りをあんまり周りに悟らせちゃいけない。いつも笑顔でいなきゃいけない。そしてそれら全てを「しなきゃいけない」じゃなくて「エレガントだからそうしている」という風に、自らの信条に変える形で貫き通さなきゃいけない。そこまでできなきゃ君にはならない。そうだよな、君が教えてくれた。君の生き様が私にそう知らしめてきた。いいぜやってやんよセイボリー。君のようになってやる。

 でもそれらは全て、君自身のためのものだろう。君が君らしく在るための輝かしく清らかな装甲だろう。今、私にはそれとは違うものが必要なんだ。君は/600のカーテンコールでユウリを護れるようになるなどとほざいたが、どうやってそうするつもりだったんだ。あの決意の裏付けを私に聞かせてほしい。なぁ、君はどうやってかけがえのない相手を護るんだ。どうやって彼女を救うんだ。
 ……いやあのユウリなら君への信頼があるだけで「何があっても大丈夫」なのは分かっているんだけどね? 私が書いたからそれはよく分かっているんだけどね? でもこのままならない現実を生きる方々は、あんな誠実お化けみたいに無敗を貫いたりはしていないんだ。私も含めてほとんどの人類が、君のユウリよりもずっと弱くて脆くて悲しいんだ。私が護りたいのは、救いたいのは、そうした、無敗のユウリよりかは確実に弱い人に違いないんだ。なぁ、どうすればいいと思う。

 /600を書くことで生き方のヒントを得て、「私は救われる」ようになりました。でも「私が救える」ようにはなれませんでした。どこまでも自分本意な物語、それが/600。でも書くことで答えを得たという今回の経験は私にとってはとても有意義なものでした。書き続けることで、想い続けることで、今回なれなかったものになるヒントを得られるのではと、そんな風に思えるようになりました。セイボリーとユウリと一緒に答えを探せるかもしれないという希望は、私を救います。私を救います。

 でもそうじゃない。私じゃない。それにのんびり書いていたんじゃ遅すぎる。1日1セイボリーを前のようにしたのでもやっぱり時間がかかりすぎる。そんなまどろっこしいことしていられない。
 私はそのヒントが、答えが、今すぐ欲しいよ。

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