彼は文句の一つも言わずに私の半歩後ろを歩いてくる。手は離されないままである。エスコートをするのに必ずしも手を繋ぐ必要はない。これはそうした、必要性に迫られたが故の触れ合いではない。私と彼との距離が自然とそれを許したから、そうしているだけの話である(3-1:可視化に足る旋律よ)
君のことが好きだよ。えっ君も私のことが好きなんだね。そうなんだね嬉しいなあこれからも仲良くしようね。みたいな感じ。それだけ、本当にそれだけ。すっげえ残酷なことしとるなユウリお前!
そうではない可能性に思い至らない程の愚鈍ではないけれど、警戒と慎重故に敢えてそう認識しないようにしていたのでしょう。探偵の冠を被っているときはそれができた。でもできなくなった。セイボリーが「捨ててください」などと願ったせいでな……。
顔を真っ赤にしたユウリを見て「あっこれ、冠を外させなきゃ永遠に伝わらないやつだったな」と気付くシーン、あれもうちょい分かりやすくどうにかならんかったかと考えているのでそのうちこっそり書き直したりなどするかもしれませんね。