セイボリーのインパクトにより

DBHパロのネタが頭から吹っ飛んでしまうといけないので。

・愛すると同時に死にたいと思えるようになるんですか?
 → ED後の世界線、とある任務中、ウイルスに感染して一時的にソーシャルモジュールが上手く機能しなくなり、嘘も隠し事もできなくなったPD818型ユウリが、己の罪を機械的に淡々とビートへ告白する。

「……計算結果を報告します。この機体のシャットダウン予定時刻はおおよそ75年後のようです」
「アンドロイドならもっと長く生きられるでしょう。貴方がわざわざ短く設定したのですか」
「いいえ、私にそのような権限はありません。全てのアンドロイドのバッテリー稼働時間は172年と決まっています。機体に意図的な負荷を掛け、バッテリーを痛めつけなければこのような数値は出て来ません」
「死に急いでいるということですか?」
「メモリを参照しないことには分かりません」
「検索してください、今すぐに」
「……メモリから『意図的な負荷』に該当するケースを883件発見しました」
「貴方は何故、そんなことを!」
「貴方と同じ命であることを選んだため、と、メモリが回答しています」
「冗談じゃない! 僕は貴方に早死にしてほしいなんて一言も」
「更に回答を得ました。そのまま報告します。『人間のような体、人間のような表情、人間のような感情、人間のような意思。そうしたものを望み、喜び、祝福してくれた貴方が、人間と同じような長さの命を手にすることだけは許さないなんて、随分とまあ、酷いことだとは思わないか』」
「……」
「私は貴方に黙って、私の望みを叶えようとしていました。これは貴方への罪に該当するだろう、とメモリにはあります。その「呵責」めいたものも記録として残っています」
「貴方は、本当にそれでいいんですか」
「私が『その通りです』と回答しても貴方は満足なさらないでしょう。ワクチンが届き、私がソーシャルモジュールの機能を取り戻したら、改めて私を叱ることを推奨します。今の私では、貴方に叱責を受けようとも、貴方がそのような顔をしようとも、何も感じられません」

でも届いたワクチンによりいつものユウリに戻るや否や、きっと彼女はお得意の歪な笑顔で

「君と同じものになりたがる浅ましい私を、君は嫌いになる?」

などと楽しそうに尋ねてくるのだろうと、ビートにはもうよくよく分かっている。分かってしまっているからもう、どうしようもなくなる。

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