「お姉ちゃん」と「おじさん」の会話(やさしくありませんように)

「おじさんがあと50歳若かったら、私はおじさんに恋をしていたかもしれません」
「はっ、たった15歳の子供が何を色めいたことを」
「ふふ、気にしないでください。恋なんてものがなくとも、おじさん、貴方は既に私の唯一であり絶対ですよ。神様みたいな存在なんです」
「お前のそんなものになった覚えはありませんね、撤回してはどうです」
「しませんよ。しない。絶対に」
「……強情なことだ」
「おじさんには自覚がないのかもしれませんが、貴方って本当にすごい人なんです。貴方がただ生きていてくださるということだけで救われる人間がいるんですよ。
貴方が、生きるという、決してやさしくない選択を今日まで続けてくださったことが、どれだけ誰かの支えになっているか……なんて、考えたことは?」
「……お前だってそうでしょう。あれがどれだけお前のことを愛しているか、まさかその年で理解できていないとでも?」
「分かっていますよ。お母さんは私のことが大好き。愛されていること、分かっています。うっとうしいくらい大事にしてくれる。私もお母さんのこと、大好きです」
「なら私を羨むなどという不毛な真似はしないことだ」
「違いますおじさん、羨んでいるんじゃない、感謝しているんです。私が生まれてくるまでの間、お母さんを繋ぎとめたのは間違いなく貴方だから」
「お前の父が聞けばショックで眼鏡を割りそうな言葉だ」
「あはは、そうかもしれない! でも間違っているとは思いませんよ。お父さんは誠実の権化のような人ですが、おじさんほどは頭がよくないみたいだから」
「ふっ、違いない! 『過ぎる想いは人を盲目にする』とはあれがお前より幼い頃に口にした言葉でしたが、お前は既にあれより優れた目を持っているようだ」
「ありがとう、大好きなおじさんに褒めてもらえると自信が付きます」

老紳士はくつくつと喉の奥で笑い、悪戯っぽく肩を竦める少女の笑顔を細めたひとつの瞳に焼き付ける。

「シーダ」と「ゲーチス」の会話。
「あの子」をあれだけ嫌ったシーダのことだからきっと「おじさん」のことは大好きに違いない!
……とかいう設定(妄想?)はずっと脳内に持っていたのですが、こうして活字として出力したことはなかったような気がしたので。

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