貴方のことを想う度、私は虚しい音を聞く(Excerpts from the diaries of)

斜陽は最強

やさしくありませんようにで「あたし」が母であるアルミナに花瓶の中身をぶちまけて怒りのままに捲し立てるあのシーン、斜陽にものすごく影響を受けているのですよね。
「お金を稼ぐってそんなに偉いこと? 料理より掃除より選択より、大事なこと? あたしはそうは思わないわ。だってお金があったって、あなた、何もできないじゃないの!」

斜陽にある素晴らしい台詞、私が雰囲気だけでもと倣おうと躍起になった台詞はこちら。
「貧乏ってどんなこと? お金って何のこと? 私には分からないわ。愛情を、お母様の愛情を、それだけを私は信じて生きてきたのです」
やっぱり品があるんだよなあ。この品の良さは私がちょっとばかし尊敬したところでどうにも習得できるものではなかったのだよなあ。
太宰さんの書かれる女性の激情って本当に綺麗で、キラキラしていて、夕日に溶かされる寸前の氷の綿みたいで、読んでいて、いい意味でとてもつらい。

太宰さんの書かれた女性の個人的ベスト3、第2位がこの女性。個人的第3位は人間失格に登場するとても無垢な女性。
君との約束を破ってお酒を飲んでしまったから僕は君と結婚できないと口にする葉ちゃんに対して、「お顔が赤いのは夕日のせいよ。飲んだなんて、嘘、うそ」って、言うんです。
なんかねえもう純粋が過ぎて読んでいて焼き焦がされそうになるんだ。太宰さんご自身がこう言われたかったんだろうなあっていう妄想をしてしまって更に辛くなるんだ。
そんでもって第1位は「葉桜と魔笛」という小説に登場する二人の姉妹。
どの台詞が、ってピンポイントで示せるような感動ではなくて、彼女たちの造り上げた病室の空気、その全てにひれ伏したくなるような、静かな美の重圧を感じられます。

……はっ、私は何故いきなりこんな話を?(曲のランダム再生で「Excerpts from the diaries of」が流れ、久しぶりの拝聴にいたく興奮したため)

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