青の共有・夜、データ破損によりだいぶ打ちひしがれていたのですが

そろそろ気を取り直して再構成しなければいけないなあと思い書き始めたのですけれども、なんか既に1週間のラグだけで文体が違いすぎる気がする。こいつはいけない。

 一度落ちれば止まらなくなった。次から次へと溶け出していく透明な空をアポロはその都度指で拭った。二人の、二人だけの正解を擦り合わせていく過程は彼等の想定していた以上に過酷であった。だからといってアポロもクリスも諦めるつもりは毛頭なかったのだけれど。
「きっと合っている、そうであってほしい」
「……やっぱりアポロさんは、悪い大人にはなりきれないんですね」
「優しい言葉を選んだつもりはない。私も苦しい。私も熱い。私も嬉しい。もっと欲しい。何もかも揃いの形を取っているこれが、正しくないはずがない」
 これが正解だ。間違いない。そう信じていよう。大丈夫だから。そう訴えるように彼女の右手を取りアポロは自らの胸へと押し当てた。体のあちこちで突沸を起こしている彼の血液、その中枢を担う心臓は破裂しそうな程に煩く喚いていて、それを己の手で知覚した彼女はアポロの想定と寸分違わぬ笑顔を見せた。青の相似、青の共鳴、青の共有、こういう形で証明できる夜があってもいいはずだ。その証明を喜び合える夜にしたかった。
 そしてアポロはふいに10を数えたくなった。10数えて、もし何の反応もなかったら尋ねてみようと思ったのだ。何故泣いているのか? 何が嫌だったのか? どれが間違っていたのか? それとも。
『それとも、ただ、泣きたくなっただけなのですか』
 尋ねてみよう、あの日のように。10を数えて待ってみよう、あの日のように。そして何も動きがなければ更に尋ね、それでも何も変わらなかったらこのまま進めよう。それでいい。何故ならアポロは悪い大人であるのだから。彼女が泣いているところを見ると嬉しくなってしまう、あの日の彼のままなのだから。

……やべえぞこれ、あかん気がする。文体が……おい! おい! 1週間前の私! どうやってその文を書いた!? 言え! どうやったんだ!

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