嫉妬の霧は煤の色、誠意の風は海の色、諦念の息は鉛色、慈愛の泉は空の色。もどかしさは星の色、熱意は炎の色、怒りは血の色、覚悟は緑色……。
でも、愛の色については思考したことがない。私の書く愛がどのような色をしているのかについて、気に留めたことがなかった。
というよりも、私は「愛」を書いているという自覚さえなかった。ご指摘を受けなければ、愛を書いていたことにさえ思い至れない連載が幾つもあった。
もしこの無意識性を「透明」だとするならば、ねえ、ご指摘に頂いた「透明な愛」という表現のなんと妥当で適切で愛おしいこと!
そんなものが本当に、本当に書けていたらいいのに。