貴方は正しい、恐ろしい程に。

その誠意の正しさを糾弾するための言葉であるならアクロマさんからシアへの言葉になり得るし、
だから私を見限れるはずだと諭す意味でならシェリーからフラダリさんへの言葉にもなるだろう。
その魂の正しさを祝福し愛するいわば告白のような形と見るならビートからユウリへの発言だろうし、
なのに私を選んでしまったことだけは間違いでしたねと喜ぶように呟くならアポロさんからクリスさんへの言葉で間違いない。
私はそういう心地をポケモンの世界に見ている。ポケモンの世界に見出せる愛とは、私にとってはそうした「正しさ」の形をしている、と言えるかもしれない。

逆に「貴方は間違えているんですよ」という発言があるとして、これはマーキュリーロードの全てに当て嵌まってしまうからもうどうしようもない。
リーリエからミヅキへの「依存と糾弾」、ザオボーさんからミヅキへの「肯定と称賛」、
ミヅキとルザミーネさんが双方向に囁き合う「罪の共鳴」、そしてグズマさんからミヅキへの「叱咤と共感」……。
恐ろしい程に正しいことがポケモンという世界観に見出せる救いのようなものだと思っていたはずなのに、どうしてマーキュリーロードを書いてしまったんだろう。
彼等を、うつくしくやさしく正しい世界に生きる彼等を間違わせてしまうなんて、と思えてくる。
でも、恐ろしい程に正しい世界で間違い続ける彼等のことは嫌いじゃない。間違ってもいいんだと教えてくれた彼等のことは、嫌いじゃない。

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