「あたしの胸を開いて。あたしの頭を割って。あんたになら全部見せてあげる。あたしの腐った内臓も溶けた脳味噌も全部全部見せてあげる。
そうしたら、あんたにだって分かるはずよ。あたしがどれだけあんたに執着しているのか、どれだけあんたを面白く思っているのか、実際に見せればきっと分かってくれる」
「存在意義が最初からあるって素晴らしいことだと思わない? 死にそうな女の楔となるために生まれてきた、双子の兄の願いを叶えるために生まれてきた、とか、ね。
生まれさせられた方はきっと、そんなものあったって窮屈なだけだと思うのかもしれないけれど、でもその「窮屈」は「祝福」よ。あたしも、それが欲しい」
「お金になる労働力を生み出せることが価値なの? 社会の益になることが価値なの? 褒めてもらえることが、崇めてもらえることが価値なの? それが世界の希望なの?
あたしは違う。あたしはそんな価値もそんな希望も信じていない。そんなことをしなければ見いだせないような価値や希望なんて嘘っぱちだわ」
「では貴方にとっての希望とは何ですか」
「何をせずとも、何を言わずとも、ただそこにあるだけで価値のあるものよ」
「……その場合の価値とは、何ですか」
「あたしが、あたしでよかったと思わせてくれるような喜びのことよ」
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絶望と空虚でYと狛枝にもやってほしい。