(致命的なネタバレは避けていますが念のためワンクッション)
ポケットモンスターという世界の魅力は、当然のことながら「ポケモンがいてくれる」というところにありますよね。
ポケモンは……なんかすごいつよい力を持っていて、きっとその気になれば電撃や炎なんかで人を殺すことなど造作もないのだと思います。
(10万ボルトを食らって平気な顔をしているスーパーマサラ人という人種もいるにはいますがその辺は此処では濁すとして)
人なんかよりもずっと強大な力を持っているはずの存在、人の言葉を操れないけれども人の言葉は理解していると思しき高い知能を持った存在。
けれどもそんな彼等は何故だか人間のことを、とてもよく慕います。非言語的な手段で、彼等は人への想いをこれでもかという程に伝えてきます。
その「人」はそれなりの社会的地位を築いた大人にとどまらず、10歳になったばかりの新米ポケモントレーナーにさえ、彼等は呆気なく心を許します。
「貴方と一緒にいられてとても嬉しい!」「貴方のために全力で戦う!」「貴方の勝利がわたしの幸せ!」「貴方のことが一番好き!」という姿勢を崩しません。
こうした存在が、いつもいつでも傍にいてくれる。
何があっても貴方を裏切らない、何があっても貴方を一番大事に思う。そうした「無条件の非言語的な愛情」を、あの世界の少年少女たちはいつもいつでも与えられている。
彼等、彼女等が「愛されることを喜ぶだけの勇気」さえあれば、その精神はとてつもなく良好で強固なものとなるでしょう。
そうしたやさしい、やさしすぎる世界が私は大好きです。そうしたやさしすぎる世界に生きる彼等の物語を妄想し続けて……今年で9年目になります。
ただ、この世界にいるポケモンという存在が彼等の心を支えてくれているのは明らかなのですが、
どうにもゲームの中の彼等を見ていると、やはり……「ポケモンだけ」では、生きていかれないようです。
人間である以上、やはり言語的な手段で、ヒトの言葉での「愛情」「肯定」「信頼」というものが必要になってくるようなのです。
そして、それらはやはり、ヒトとヒトとの関わりでしか得られません。
そして、相手が人である以上、「この人は私を裏切らないだろうか」「嫌われたりしないだろうか」などの不安を抱えながら関わっていく必要があります。
この辺りの「ままならなさ」は、同じ人間という生き物である以上、ポケモンの世界の彼等も現実の世界の我々も、大差ないように思います。
けれどもそのようなままならない世界の中でも、ポケモンが生む「運命性」をもってして、
不確定な存在である人間でありながら、ポケモンとの間に結べるような、あまりにも強すぎる絶対的な信頼関係を結べる場合があります。
その最たる例が、私はBWの主人公とNだと思っています。
レシラムとゼクロムによって結ばれてしまったこの二人の運命性は文字通り「切っても切れない」ものであり、
二人がポケモントレーナーとしてその二匹を従えることを選び続ける限り、二人の時が分かたれることはきっと永遠にないでしょう。私はそう信じています。
この二人は……ポケモンから受け取るはずの「無条件の愛情」にとてもよく似たものを、互いから受け取ることができています。
非言語的な愛情をポケモンから、言語的な信頼関係を互いの「片割れ」から。
……ポケモン界に生きる子供たちは基本的にこころのつよい子が多いのですが、この二人は群を抜いています。
何せ「愛情や信頼の絶対性」を保証してくれる存在が、他の人の倍、いるわけですからね。
この「数奇な運命によって望んでもいないのに得てしまった「片割れ」という存在」の意味するところは、何度も書きたくなってしまうものでして……。
それ故に当サイトには、Nとトウコの話がかなり、あります。(モノクロステップ、マリオネットの逃避行、冠が土に還るまで、カノンの翻訳番外「The Diary」)
前置きがとんでもなく長くなってしまいましたが、イズル(およびそれに類する人間)の話に戻しましょう。
彼はポケットモンスターの世界に生きる人間ではないため、当然のことながら「無条件の非言語的な愛情」というものを受け取っていません。
つまり彼(彼等)の精神の「覚束なさ」というものは、このままならない現実の世界に生きる私達と同レベルである、ということになります。
……通常ならば。
けれども彼、イズルは「そうではない」。
彼もまた、BWの主人公とNのように「無条件の愛情」にとてもよく似たものを受け取ることができている存在だと、私は考えています。
それは「愛情」と呼ぶにはいささか物騒であるのかもしれないけれど、それでも彼にとって「それ」が、
「ツマラナイ」ものではなく、もっと別の「オモシロイ」何かになっていく、そうした未来を想像したくなってしまう程度には、私は彼に希望を見ています。
まあこっちの黒いワカメはこういう理由で深入りできるからいいとして、なんで私は白いワカメの方にまで傾倒しちまったのかなあ……。