「どうして、それなりに優秀な奴に限って、自分の力の価値を他人に委ねようとするんだろう。
どうして、飽きっぽくて身勝手で、大切なものが他にも沢山あるような相手に、揺るぎない価値を付けてもらおうと躍起になっているんだろう」
「……」
「そんな風だから、無理をし過ぎて、自滅するんだわ」
すると彼は「溜め息を吐いて」「眉をひそめた」。
今までのどんなあたしの言葉も「情報」として処理するのみであった彼が、初めて発露した「感情」らしきものに、あたしは息を飲んだ。
「ツマラナイ考えですね」
本当につまらなさそうな表情でそう零すものだから、下らない思考を開示したあたしを責めるように、あたしの思想を窘めるように、眉をひそめるものだから、
あたしは驚きが冷めるのを待たずして、その狼狽を誤魔化すように笑い、ええ、ええそうでしょうねと肩を竦めてみせる他になかったのだ。
「言ってみれば、駄々を捏ねているようなものだから」
「駄々を捏ねる、ですか」
彼にしてみれば、幼子の所作であるようなそれを、高校生にもなったあたしが行っていることは違和感以外の何物でもなかったのだろう。
そのちぐはぐな生き様を揶揄うように、呆れるように、彼は顔を少しだけ歪めた。
「貴方は、貴方にとって無益で無駄なことばかりで構成されているように見えます。けれども貴方自身は、そうした遠回りをいたく気に入っているのでしょうね」
その「顔の歪み」に見えたそれが、彼の渾身の「笑顔」であったのだと、あたしが気付くのはもう少し後の話だ。
*
もう終盤なのにタイトルが決まらない。